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“国を牽引”小池都知事が示した対策は?

【独自解説】2022年の出生率は“最少”か?待ったなしの少子化対策 「国が遅い」小池都知事は具体策を発表、独自対策で消滅可能性都市から『出生率2.95』実現の町とは

 2022年の出生数は、80万人を割り込み、統計開始以来“最少”となる見通しで、国の予測より8年も早いペースで少子化が進んでいます。岸田首相は今年の優先課題として、「異次元の少子化対策」を打ち出しました。政府は、「こども家庭庁」が発足する4月以降に本格的な検討を進め、6月に大枠を示す方針です。

「第2子以降の保育料は全世帯無償」などを発表

 そんな中、東京都は具体策として、2024年1月から0歳~18歳までの子どもに対し、月5000円、一年分の6万円を現金で一括給付すると発表。さらに、これまで0歳~2歳の第2子の保育料を半額に、第3子以降を全額無償としていましたが、これを第2子以降で所得制限なく、全額無償化するなどとしました。小池百合子都知事は、「国より(早く)というのではなくて、国が遅いと。その一言です」と国を牽引すること強調。都は、2千億円増額の1兆6千億円を少子化対策などに計上する、としました。

 この方針に、都内の子育て経験者からは「共働きで一緒に働き始めて保育園に預けるとなった場合、月々4~5万くらいかかるので、それが(無償化で)無くなると考えると大きい」、「若い世代は産む後押しになるのかなと思う」など、日本の未来を担う存在として、社会全体で子どもを育てていくべきとの声があがる一方で、「習い事などを含めると、5000円ではまかなえない」、「小学校、中学校、高校とどんどんお金が掛かってくるようになるので、授業料や給食費など、もう少し具体的に何かやってもらいたい」という声もありました。

未婚率増加も原因?「結婚するつもりはない」は30年で3倍に

男性の17.3%、女性の14.6%が「一生結婚するつもりはない」

 国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査(2021年)によると、34歳以下の未婚者の中で、「一生結婚するつもりはない」と答えた人は、男性が17.3%、女性は14.6%に上り、1992年からの30年で約3倍になりました。

「結婚したら子どもを持つべき」は大幅に減少

 また、「結婚したら子どもを持つべき」と答えた人は、2015年以降大幅に減少していて、2021年には、男性が55.0%、女性は36.6%でした。

三輪記子弁護士

Q.三輪さんもまさに子育てされていますが、お金ではなく若者や、子どもをもうけるか迷っていらっしゃる方の“トレンド”も変えていかねばなりませんね?
(三輪記子弁護士)
「そうだと思います。例えば女性の立場に立つと、今は共働き世帯が多いですが、結婚して子どもができても働き続け、家事育児の負担も女性の方が多く負うということを想定している人が恐らく多いと思うんです。実際の現実社会がそうですから。そうだとすると、そこまでの負担を背負ってまで、仕事もして家事育児もして、と思わなくなるのは当然だと思います。少子化対策は絶対にやって欲しいですが、もっとベースとなる“働きやすさ”のようなところを制度的に改革して欲しいと思います。例えば、『選択的夫婦別姓制度』は90年代から法制審が答申をあげているのに、未だに実現されない。そのために働く女性が現場で小さな不利益をたくさん被っているんです。そういうところも改善していって欲しいなと思います」

全国平均の倍の出生率を誇る町 独自の“少子化対策”とは

岡山・奈義町 独自策で出生率“増”

 東京都以外にも独自の少子化対策を進めているところがあります。岡山県勝田郡奈義町は2023年1月現在、人口5765人・世帯数2536世帯の町です。2014年に消滅可能性都市と指摘されていましたが、少子化対策を行うことで、2019年度の合計特殊出生率が2.95、全国平均の倍になりました。

奈義町の子育て世帯に対する支援

 奈義町では子育て世帯へ向け、医療費は高校生まで無料、在宅育児支援金を生後7か月~満4歳まで月額1万5000円支給、保育料は国の基準の55%に軽減し、小中学生の教育教材費は無償、学校給食費は半額など様々な支援を行っています。また、子どもを望む世帯には、若者向け賃貸住宅・3LDK(戸建て)を月額5万円で提供、不妊治療の助成金は年齢制限・所得制限なく年20万円、出産祝い金として出生児一人10万円などの支援もあります。

子育て支援の財源は?

 子育て支援に対する財源について、町は議員数を14人から10人に、職員を120人から約90人に減らし、各種団体などへの補助金を減額するなど、2004年度に1億6000万円の経費を削減しました。奈義町の担当者は「子育てを終えた世代に“自分事”として理解してもらうことが大切。説明会を重ね、将来のために子ども支援の重要性を訴えた」ということです。


Q.日本の特殊出生率は減っていますが、法律婚をしている人達の子どもの数は昔と変わらないといいます。「婚外子」など、“結婚と子ども”に対する価値観をどうするか議論していくべきという意見もあります。
(三輪弁護士)
「この意見には賛成です。例えば、同性婚で女性同士のカップルで子どもを持つということもできますよね。そこに結婚という法的な保護を与えることで、そういうカップルに子どもがたくさんできることもありえると思います。結婚という形を今のままではなく、もう少し柔軟にする法制度を作っていってほしいです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」 2023年1月16日放送)

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