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元宮内庁職員・山下晋司さん

【独自解説】小室夫妻の記者会見分析  元・宮内庁職員「今回の問題は皇族の“公”と“私” 皇室と国民の距離感を結婚に限らず考えていくべき」

異例の結婚会見を専門家が分析

 秋篠宮家の長女、眞子さんと結婚した小室圭さんの論文がニューヨーク州弁護士会主催のコンペで優勝し、その表彰式が10月26日行われました。コンペの主催者は「偶然にもこの賞が結婚祝いにもなった」と祝福の言葉を送りました。一方、質疑応答なしという形で行われた異例の結婚会見。お二人の受け答えからはたして何が読み取れたのでしょうか? 元・宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんと、国際弁護士の清原博さんが独自解説します。

Q.印象的だったのは、眞子さんが最初にコロナ禍で尽力している人への感謝を述べて、今まで出会ってきた方々への感謝を述べられました。そこで皇室との一区切りをつけて一民間人としての話が始まったように感じましたが?

(元宮内庁職員・山下晋司さん)
「一時金を受け取らない、皇室の今まで慣習として行われてきた儀式、行事もやらないという、皇族ということでなくて、一人の人間としての結婚の中で、この記者会見は、秋篠宮殿下が2020年に『結婚する段階になったら、今までの経緯をきちんと話すことが大事だ』とおっしゃっているので、それを受けたものだと思います。皇族としての最後の“けじめ”ということだと思うのです。私も会見を拝見していて、最初のところなどは眞子内親王殿下の普段のご公務でのお言葉みたいな感じを非常に受けたんですよね。これが皇族としての最後というか、そういったものを入れた上で、実際には一人の人間として結婚しますっていうものが、会見の中身も文書回答も全体を通じて1本筋が通っていたなと思っています。」

記者会見では質疑応答なし

お互いへの思い

(小室圭さん)
「私は眞子さんを愛しております。一度きりの人生を愛する人とともに過ごしたいと思っています。」

Q.会見冒頭で小室さんが「眞子さんを愛している」と言ったことについて、清原さんは「日本人はあまり言わないので、アメリカ人的な発想が見に付いたのでは」とコメントされていますが?

国際弁護士・清原博さん

(国際弁護士・清原博さん)
「そう思いますね。しかもなんの抵抗もなく躊躇なく話されているということは、たぶん日頃から眞子さんに対して『I LOVE YOU』とか愛情表現を伝えていると思うんですね。眞子さんも嬉しいと思いますよね。」

 婚姻届を提出し、夫婦となった眞子さんと小室圭さん。記者会見は質疑応答がいっさい無い異例のものとなりました。会見は10分あまりで終了。当初は事前質問にも答える予定でしたが、事前に質問内容を見た眞子さんが衝撃を受け、会見の場で答えるには“強い恐怖心がよみがえる不安が払拭できない”として質疑応答は取りやめになりました。二人は7ページの文書で回答しました。

秋篠宮さま「それ相応の対応」応えた?

(事前質問)
「お二人はこの先どのような環境でどのような家庭を築いていくことを希望されていますか?」

(小室眞子さん・文書での回答)
「心穏やかに過ごすことの出来る環境で、あたたかい家庭を築いていくことが出来ればと思います。」

(事前質問)
「金銭トラブルについて、秋篠宮さまが「相応の対応」を求められたことにどの程度応えられたか?」

(小室眞子さん・文書での回答)
「私たちは精一杯対応してまいりましたが、どの程度応えることが出来たかについては、 対応をごらんになった方が判断されることかと思います。」

小室眞子さん「私がお願いした」

Q. 小室圭さんのお母様の元婚約者の方への対応は、眞子さんがお願いした方向で進めていただきましたということですが?

(山下晋司さん)
「これについては初めての話ではなくて、2021年4月に例の長い小室さんの文書があって、その後に宮内庁の皇嗣職のほうから、例えば『秋篠宮殿下は見える形になるように努力したっていうふうに思われているように拝察した』という、直接の言葉じゃないんです。眞子さんはこの文書について、その対応について、眞子さんの意見というものが非常に入っているということは、もうあの段階で既に言っているんですよ。」

日本雑誌協会からの質問

留学先の大学で特別な待遇があった?

 眞子さんが衝撃を受けたというのが、日本雑誌協会からの質問でした。「小室さんは、母親の元婚約者の方と直接交渉をするお考えがあるとのことですが、発端となった金銭トラブル、また、すでに刑事告発されている小室さんの母親による遺族年金の不正受給の疑惑について、現在の状況を詳しくご説明ください。」この質問に対し、小室さんは「遺族年金の不正受給については、そのような事実はない」と否定。

 「小室さんの留学先のフォーダム大で『婚約者』として特別な待遇があったのではないか?」というような質問もありました。眞子さんはこれについて「圭さんが『フィアンセ』としてフォーダム大に入学しようとしたという事実はありません」と回答し、小室さんは「私が皇室を利用したという事実はありません。婚約者としての特別な待遇もありません。学費全額免除の奨学金については私が提出した成績を含む総合的な評価に基づいて決まりました。入学選考において私がプリンセス・マコのフィアンセであるとお伝えしたことはありません」と回答しました。

Q.小室圭さんがニューヨークで弁護士になれるかどうかの話で、これは過去の話ですよね?

(清原博さん)
「ただ、この質問を出すというのは、私はある程度は理解出来るんですよ。結婚会見でこういう失礼な質問するのはどうかという点は当然あると思いますが、今回は、異例の結婚になった原因というか発端というのは、やはり金銭トラブルだったり、そういったものもあるから国民の関心事なんですね。ですからフォーダム大学に入学した時、もしかしたらフィアンセという肩書を利用したんじゃないかということが、もし国民の思いであるなら、そこを正したいということはわかるんですが。入学させるかどうか、奨学金を出すかどうかは、フォーダム大学の内部で決まっていることで、あの場でお2人に聞いても答えようがないわけです。もしそこが、何かかおかしいな、不公平だと思うならば、フォーダム大学に記者さんたちは尋ねるべきであって、2人に聞くのは気の毒だったと思います。」

結婚に否定的な声に対して、皇室や宮内庁が説明するのは難しい?

結婚に否定的な声について

Q. 眞子さんが仰いましたよね、「事実でないことが一人歩きして物語のように進んでいったんだ」と。皇族の方々というのは、「これ事実と違うんですよ」とか、「いま実はこの小室圭さんのお母さんに関する問題というのはここまで話が進んでるんです」とか「こういう経緯なんです」というのは皇族である以上は言えないものなのですか?

(山下晋司さん)
「この話は非常に難しくて、秋篠宮殿下も以前、記者会見で『いろんな報道をされている、批判されている、問題があるといわれているのは小室家であって、よその家の話だ』というようなこと仰っているんです。宮内庁も国の1つの機関として、一民間人に寄るというのはなかなか難しい。できないって言ってもいいんですね。ただ、だからといって何もできないかとなると、そこまでは言えないと思います。眞子さんは皇族なわけですから、その発信の仕方、そのタイミングといいましょうか、そういうことを考えれば、なんらかの手は取れたのかもしれないですが。私が思ったのは今回、眞子さんは『小室さんが独断で動いたことはない』と仰っていましたけれども、そういうことを秋篠宮同妃両殿下や宮内庁がいつ知ったのかっていう。こういうトラブルが始まったときに、小室さんと眞子さんは2人で話をしておられて、眞子さんがご両親や皇嗣職にそういう話をしていなかったら、分からないわけですよね。報道が出始めた頃も、収まればいいっていう気持ちもあったかもしれないが、気が付いたときには大きくなり過ぎて抑えるのが大変、反論するのもいっぱい反論しなきゃいけない。反論がまた記事になって、傷がどんどん深くなっていった。“最初の段階”というのがどこだったのかっていうのも、結果論でしかないんでしょうが非常に難しかったと思いますよ。」

Q. 宮内庁とか眞子さまが会見なり文書をもっと前に出されて、「実はこれは事実とは違うんですよ」とか「こういう経緯なんですよ」ということは、やろうと思えばできたけれども、やはり皇室としては対応が難しいということですか?

(山下晋司さん)
「宮内庁としては非常にやりづらくて、今回の結婚に関する報道がされているなかで、上皇上皇后両陛下のことが持ち出されたりもしていたわけですよ。そこの部分については、『そんなことはない』というのは、宮内庁としては言えるんですけれども、一民間人の方のトラブルについて国が入るっていうのは非常に難しい。そこに眞子さんが絡んでいた、眞子さんが主導していたとかってなると、皇族が民間人のトラブルに介在するというか。相手の方も国民ですからね。ですからそこは、どっちかにつくっていうのは非常に難しいですよ。」

結婚にあたってご家族の言葉は?

家族からの言葉は?

(皇室ジャーナリスト・近重幸哉さん)
「秋篠宮ご夫妻、それから天皇皇后両陛下、上皇ご夫妻などに対しての思いなどを語られていなかったなという印象が残りましたね。」

 皇室ジャーナリスト・近重幸哉さんが注目したのは、「結婚にあたっての家族からの言葉と、どのように受け止めているか」という質問。眞子さんの回答は…

(小室眞子さん・文書での回答)
「結婚にあたっていただいたお言葉と、私がお言葉をどのように受け止めているのかということについては、私の心の中に大事に留めておきたいと思います。」

(皇室ジャーナリスト・近重幸哉さん)
「本来ならば天皇皇后両陛下、それから上皇ご夫妻からあたたかい言葉を頂いたとか、そうした言葉が一言でもあれば、国民のほうにも喜びが伝わってくるんですけれども、そういうことはなかったと。“それはどういうことなのか”ということを感じてしまったということはありました。」

会見分析・「結婚に否定的な声」について

 皇室取材33年。ベテランジャーナリストの近重幸哉さんは、違和感を持つ会見だったと言います。

(皇室ジャーナリスト・近重幸哉さん)
「笑顔の会見になって良いと思うんですけれども、ただそれがお二人の幸せを物語る将来についての夢を語る時の笑顔ではなくて、どちらかと言うと“結婚できた”、“今の状況を勝ち取った”という風にも取れるような笑顔だったので、それはちょっと私の目からはあまり良い感じには受け取れなかったですね。」

 そして、週刊誌の記者として皇室を取材してきた経験があるからこそ感じる心配の種が眞子さんの「圭さんのすることが独断で行われていると批判され私の気持ちを考えていないといった一方的な憶測が流れるたびに、誤った情報がなぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていくことに恐怖心を覚えると共につらく悲しい思いをいたしました。」という発言の中にありました。

(近重幸哉さん)
「眞子さまは国民の気持ちを充分酌んで、そのような答えを出されているのかどうか。バランスよく情報を汲み取っていたのか、それとも週刊誌等の報道に対するお気持ちというのは全てこれが否定的に捉えて、間違ったものだというふうに思われていたのかというところも疑問に残りましたね。」

海外で生活することについて

Q. 小室圭さんは将来、海外で生活をしたい。そこに眞子さまも賛同されて眞子さまとしたらとにかく結婚が延期になったんだから、1日も早く留学をしてもらって私も海外に行きたいというふうに仰ったんですかね?

(山下晋司さん)
「おそらく、そういうことでしょうね。もともと婚約内定の記者会見の時も、はっきりと将来の目標は仰らなかったんですが。ICU(国際基督教大学)に行かれ、英語を活かした仕事を、そもそも目標として持っておられたんでしょうから。今回のご回答ぶりからしますと、結婚して少し経ったところで、2人か、小室さん1人かは分かりませんが、ニューヨークなりに渡って、向こうで弁護士の資格を取ってというのは、おそらく計画の中にあったのでしょう。結婚が延期ということになったので、それであればこの機会に行ってくれというふうに眞子さんが小室さんに頼んだと。眞子さんも将来はもう日本ではなくて、米国なり海外で生活していきたいというお気持ちが非常に強かったんじゃないかと思います。」

ニューヨークでの生活は?

今後の生活 期待・不安は?

 「今後の生活への期待、不安は?」という質問に対して、眞子さんは「一番大きな不安を挙げるのであれば、私や私の家族、圭さんや圭さんのご家族に対する誹謗中傷がこれからも続くのではないかということです。」と回答しています。

 今後の生活について清原さんは「海外メディアは今回の結婚をスキャンダルと見ている。この見方が主流だとしたら、関心の的になり続ける。ニューヨークに行っても落ち着いた静かな環境は維持できない、作れないというのが一番心配」と話しています。

Q.ニューヨークは大都会で色々な人がいるので大丈夫だろうという人もいれば、特派員協会の方は「スキャンダル」と書いていましたね?

(清原博さん)
「そうですね、『ビッグ・スキャンダル』だって言っておりまして、アメリカのテレビのCNNは記者会見を生中継しました。それぐらいアメリカのメディアも注目しております。本当に2人には気の毒なんだけども、アメリカでは報道の自由というのはかなり厚く保護されているんですね。ですからお2人、民間人といえどもやっぱりこれだけ注目を浴びているのでやっぱり準公人に近いんですよね。となるとやっぱり報道する価値がある、報道の自由は大切だ、というのがアメリカの考え方なので、もしかしたらアメリカ行ってもなかなか落ち着いた生活はできないかもしれませんね。」

問題となった、皇室と国民の距離感

Q.今後、我々国民も、皇室は国民に寄り添っていただけるという理想像があって、それをあたり前のように私たちは享受している。一方で皇室の方々も人としての人生もあるわけで、これから皇室と国民の距離感とか立ち位置を考える時期に来ているのでは?

(山下晋司さん)
「そうですね。今回の問題というのは皇族の“公”と“私”というもの、それと国民との関係、国家との関係というものが、戦後70年、制度としては変わっていないんです。そういう中で起きてきた問題だと思いますので、こういうのは結婚に限らず今後、我々も考えていくべきですね。」

(情報ライブミヤネ屋 2021年10月27日放送)

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