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ソメイヨシノとジンダイアケボノ、何が違う?

【注意】桜の倒木が相次ぐ背景にソメイヨシノの“高齢化”…街中で見つけた危険な木の3つの特徴 “日本の風景”を守るには―

 本格的にお花見シーズンが到来する中、注意が必要なのが桜の倒木です。その原因は、ソメイヨシノの“寿命”だといわれています。安全面が懸念される中、注目される新たな桜『ジンダイアケボノ』とは?日本の桜を守るには?樹木の専門家である『日本樹木医会』理事・小林明さんの解説です。

■お花見は大丈夫?各地で桜などの倒木が相次ぐワケ

各地で桜など倒木相次ぐ

 2026年3月7日・8日、東京・世田谷区の都立砧(きぬた)公園で桜の木などの倒木が相次ぎ、女性(73)が下敷きになりケガをしました。2025年度、都立公園などでは85件の倒木が発生。国交省によると、全国の倒木による事故は、2021年4月~2024年11月の3年半で1732件発生していて、そのうち110件が人身事故に発展しています。

 倒木が相次ぐ理由について、樹木の観察・診断・対策を20年以上行ってきた専門家・小林明さんは、「日本の人口構成と同じように、樹木も高齢が多く、いびつな形になっている。安全面のリスクが高い樹木は確実に増えている」と分析しています。

日本の桜・ソメイヨシノの特徴

 『ソメイヨシノ』の特徴は、同じ木のクローンで、成長が早く樹齢30~40年で成長が鈍化します。また、折れた枝などから幹を腐らせる菌が浸入しやすく、寿命は60年という説もあります。

『日本樹木医会』理事・小林明さん

(『日本樹木医会』理事・小林明さん)
「木が弱ったり倒れたりするリスクが出てくるのが70~80年で、それで“寿命”と呼んでいます。枯れ枝が出たり、病気が出たり、衰えていったら、ソメイヨシノとしての価値がだんだんなくなってきます」

桜の多くが“寿命”を迎えている

 日本に植えられている桜の多くは、1950年代以降の高度経済成長期に、緑化整備の一環として公園や道路に植えられました。現在、多くの桜が寿命を迎えており、強風などによって倒れやすくなっています。

■新宿区で“倒木の危険がある木”を調査 危険サインとは?

危険樹木の見分け方

 小林さんによると、桜の危険樹木の見分け方には『一部の枝に花がない』『斜めに傾いている』『枝や幹にキノコが生えている』があります。

・一部の枝に花がない➡大きな枝に花がない場合、枝が枯れていると落枝の危険性が高い。春以降の季節に葉のない枝も要注意。

・斜めに傾いている➡春先の時期は花芽が水分を含み肥大しているため、幹全体のバランスが崩れやすい。斜面にある桜は注意を。

・枝や幹にキノコ➡『コフキタケ』などのキノコが生えると、幹の中心部まで侵されている可能性がある。強風や降雨などで倒木の危険性が増す。

腐食した木を発見

 実際に小林さんと、東京・新宿区で倒木の危険がある木を探してみると、幹が腐食してしまったという木を見つけました。

(『日本樹木医会』理事・小林明さん)
「触ると、スポンジみたいにボコボコしています。これはカビが食べた後です」

 腐食した部分が根元にあった場合、木を支える力が弱くなり、倒木の危険性が高まるといいます。

カビが成長してキノコへ…

 さらに、幹の下のほうには『コフキタケ』というキノコも。

(小林さん)
「コフキタケは、カビが成長してキノコになる最初の部分です。支えている根のほうにもカビが生え始めると、根が弱ります。この木は向こうに傾いているので、根が弱くなってブチッと切れるような状態になると、それが倒木になります」

傾いた木も要注意

 そして、片側に傾いている桜もありました。

(小林さん)
「この木を見ていただくと、片側に民家があるので枝があまり伸ばせませんが、それに対して反対側は川なので、枝が伸ばせます。そうすると当然、川側に重くなってきて、じわじわと傾いてきます」

神田川沿いの桜6割以上に著しい被害

 2025年、新宿区が神田川沿いの桜170本を調査した結果、6割以上の桜に著しい被害を発見しました。今後は地域住民と協力して、安全で健全な桜並木を維持していくということです。

■注目される“新たな桜” ソメイヨシノとの違いは?詳しく解説

ジンダイアケボノとは?

 日本の春を象徴するソメイヨシノの多くが寿命を迎え、安全面が懸念される中、注目されている“新たな桜”があります。それが、東京・神代植物公園に原木がある『ジンダイアケボノ』です。小林さんに詳しくお話を伺いました。

Q.ジンダイアケボノとソメイヨシノの違いは?
(小林さん)
「ソメイヨシノに比べて少し小ぶりで、花が数日早く咲きます。色も少し濃く、ピンクのグラデーションが見事なところが特徴の一つで、片親はソメイヨシノと同じ『エドヒガン』という桜です」

Q.『ジンダイアケボノ』の名前の由来は?
(小林さん)
「原木は、今から50~60年前にはここにあったんですけど、長らく名前がありませんでした。でも、早く咲くしキレイだということで問い合わせがあり、私の恩師らや植物の先生が調べて、1991年に名前をつけました。神代植物公園から『神代』と、花が“春は曙”の色なので、『ジンダイアケボノ』です」

「てんぐ巣病」に感染したソメイヨシノ

Q.ジンダイアケボノは、病気などには強いんですか?
(小林さん)
「ソメイヨシノには、花が咲かない枝がつく『てんぐ巣病』という病気があります。ジンダイアケボノは、できてから60年ぐらいなので病気に強いかどうかはわかりませんが、今のところ『てんぐ巣病』が少ないということです。これは今後の課題です」

2つの桜の違い

Q.桜=ソメイヨシノというイメージもありますが、ソメイヨシノとジンダイアケボノは共存できますか?
(小林さん)
「私は、広い場所では木が大きくなるソメイヨシノ、あまり広くない場所ではジンダイアケボノという住み分けができるのではないかと思っています。ソメイヨシノは同じクローンで、北から南まで植えられているので、『桜前線』が成り立ちます。世界の文化遺産的なものですから大切にしていきたいですし、ジンダイアケボノがソメイヨシノに取って代わるのは、何十年もかかると思います」

Q.安全にお花見するために、今あるソメイヨシノの木に対して、どういう作業をしていくことが重要ですか?
(小林さん)
「まず、ソメイヨシノも他の木も健全に育成することが一つです。どういうところで“健全ではない”“元気がない”とわかるかというと、『枝の下のほうには花があるけど、上のほうにはない』『木が斜めになっている』『根元にキノコが生えている』などがあれば、危ないサインだとみています」

Q.病気などになったソメイヨシノは、切ってしまわないといけないんですか?
(小林さん)
「そうです。寿命というのは難しいんですけど、元気がなくなったら復活は難しいので、お金はかかりますが、植え替えて新しい木にします。ただ、花が見られるまでに20~30年かかりますので、今から準備してほしいですね」

Q.木が健全かどうかは、庭師や樹木医に見ていただくのが一番早いですか?
(小林さん)
「そうですね。専門的な見方をして、今がどういう状態なのかを把握したうえで、今後、元気にするにはどうしたらいいのか、その方法を樹木医は提供してくれますので、見てもらうのがいいと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2026年3月24日放送)

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