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経済アナリスト・森永康平さんのプロフィル

【独自解説】首都圏マンション高騰!なぜ購入者急増?買いどきは? 経済アナリストが「今、家を買ったら儲かる?」と聞く人が増えているのが非常に危険!と警鐘を鳴らす意味とは

首都圏マンションの価格高騰

 首都圏のマンション価格が高騰し、2021年上半期の平均価格は6702万円と、上半期としては過去最高値となりました。ここまで高騰した原因は?そして、高騰しているにも関わらず、マンション購入者が急増しているのはいったいなぜなのでしょうか?マンションの買いどきは?森永卓郎さんの息子で、経済アナリストの森永康平(もりなが・こうへい)さんが、ミヤネ屋に初出演し徹底解説しました。

 森永康平さんは、証券会社などでアナリストとして活躍。インドネシア、台湾、マレーシアなど海外でも株式事業や起業を経験。3児の父で、趣味は釣り、カラオケ。横浜ベイスターズファンです。

高値でもマンション販売好調

首都圏のマンション価格高騰

 人生最大の買い物といわれる「家」。“自分の城”を持つことで、より豊かな生活を送れると考えている人も多いはずです。ところがいま、首都圏の新築マンション価格は、高騰が続いているといいます。

 その平均価格は、なんと6702万円。上半期としては過去最高となりました。不動産経済研究所は年間の平均価格も、バブル期の90年(1戸当たり平均6123万円)を超える可能性が高くなっているとしています。

経済アナリスト・森永康平さん

Q.首都圏マンションの価格が上がっている原因は?

(経済アナリスト・森永康平さん)
「都心の再開発が一巡したため、新たな土地の確保が難しいからです。例えば、銀座なんかも、すでに再開発がほぼ終わっているんですけれども、今これだけ物件価格が上がるんであれば、『建てれば儲かる』と不動産企業は思うんですが、もう再開発が一巡しているので、土地の確保というのが今非常に難しいと。その結果、新規で供給されなくなったので、値段がこうやって上がっているということです。」

新築マンション 販売戸数増

 一方で、マンションの販売は好調だといいます。10月に発表された2021年度上半期の首都圏の新築マンションの販売戸数は1万2809戸。2020年、“新型コロナ”の影響で大きく落ち込んだマンション販売ですが、テレワークの普及などで、住宅への意識が高まったことから、2020年の同時期に比べて約45%増加しました。

Q.テレワークで東京から地方に移住した人が、結局戻って来たのか、行かなかったのか?

(森永康平さん)
「実際は、近隣の埼玉とかも値上がりしているんですけれども、今コロナが落ち着いてきて、会社とかでもやっぱりテレワークだとやりづらいから、みんな改めて出社してくれというような号令もかかり始めているので。結局、出勤するなら都内がいいんじゃないのということで、都内の物件が引き続き人気になっているということですね。」

人気エリアは?

東京都内の人気エリアは?

 森永さんによると、都内の人気エリアは、土地の価値が下がりにくい、港区の3Aエリア(青山・赤坂・麻布)、渋谷区(代官山・広尾)、千代田区(麹町・番町)など、都心部の人気が高いということです。

(森永康平さん)
「不動産は、新しく買って住み始めた段階で「価値が2割ぐらい下がる」とよく言われるんですけども、最近ずっとマンションの価格が高騰しているので、最近起きている現象としては、例えば契約した時より、引き渡しされた段階でもう値段が上がってしまっていると。バブルと指摘する人もいますし、その背景には低金利があるというのはありますね。」

購入者は「パワーカップル」

首都圏のマンション購入者は?

 また、物件の購入者には「パワーカップル」が多くなっているといいます。「パワーカップル」とは、共働きでそれぞれ年収700万円以上、世帯年収1400万円以上のカップルのことです。

Q.こういう「パワーカップル」と言われる人たちが、東京都心の高いマンションを買っている?

(森永康平さん)
「コロナ禍の、この2年ぐらいで、景気が悪くなったというようなことよく言われるんですけれども、実は、コロナの不況はすごく特徴的で、一般の不況は、みんなが大変になっていくのですが、コロナの場合は業種によっては、むしろコロナが追い風になって伸びたり、雇用形態では非正規の人は首を切られたけれども、正規雇用の人は相変わらず雇われていて、しかもその間、株式市場とか仮想通貨とかは軒並み値上がりしていたので、正規雇用で年収が高い人たちは資産運用でお金も増えたということなんです。」

Qある程度の年齢の方で資産のある方は、マンションじゃなくて時計とか車とかそういうところに今、お金が流れていますよね?
「そうですね、高額の芸術品とか、こんな値段がつくのかっていうものがバンバン、オークションで売れたりしていますね。」

住宅ローンは“超”低金利

住宅ローンは“超”低金利

 さらに、住宅ローンの金利が“超低金利”となっていることも、購入を後押ししているではないかということです。某大手銀行の現在の住宅ローン金利ですが、固定金利(31~35年)が1.70%、変動金利が0.475%となっています。国交省・住宅局の発表資料によると、2019年度、新規で住宅ローンを組んだ人の63.1%が変動金利を選んでいます。

(森永康平さん)
「バブル期には変動金利が8.5%だったこともあるが、現在の日銀の金融政策や金利差から、変動金利が有利と感じる人が多いのでは。」

Q.変動金利が0.475%まで下がっていると、いきなり5%、6%になることは無いでしょ?
「なかなか考えづらいですよね。だからこそ今、目先で金利がこれだけ低い変動金利を選んでいる人が6割以上います。」

Q.いま、30年の住宅ローンを組むとしたら、固定と変動だったら変動金利のほうがいいのですか?
「やはり目先の金利が低いっていうのもありますし、この10年間ほとんど変動金利は変わってないわけですから、これがじゃあこれから10年間で一気に上がるんですかって言われると考えづらいということなので、私が自分で組むのだったら変動金利を選ぶのかなと思いますね。」

「土地」も「中古マンション」も価格高騰

東京23区の住宅地 平均価格

 東京23区の住宅地の平均価格も上がっています。2012年の平均価格は1平方メートルあたり48万4000円でしたが、2021年は63万1400円となっています。

Q.世界の東京の土地が平均で1平方メートルが63万円、マンションは平均で6700万円。中国などの海外富裕層からみると、とても安い値段なのでは?

(森永康平さん)
「例えば、中国の投資家とかで『上海のすごく高いマンションを一室買う金額と、都内の1棟買う金額が同じぐらいだ』というようなこと言う人もいるんですね。もちろんグレードにもよりますが、そういうことを言って投資に来る中国人の投資家もいます。」

Q.海外から見ると東京はとても魅力的な市場なので、買い漁られることも考えておかなければならない?
「だからこそ規制を掛けていかないと、気付いたら中国の人がほとんど持っていたということもあります。実際、都内だと池袋とか行くと、北口なんか出るとほとんど中国の方ですよね。」

Q.買う人は結局、富裕層と投資家と海外のお金持ちで一般の人ではないのですか?
「本来は家っていうのは、住むために買うものなんですけれども、不動産価格が上がり過ぎて、本当に住みたいという人が、本当は買いたいのに買えないという状況が起きてしまっていますね。」

中古マンションも価格高騰

 いま、「中古マンション」の価格も高騰しているといいます。東京カンテイが発表した、2021年10月の中古マンションの平均価格(70平方メートルあたりの価格)ですが、首都圏では4360万円(6か月連続上昇)となっています。ちなみに大阪の価格ですが、2926万円(9か月連続上昇)となっています。

Q.中古マンションも物件が無いそうですね?
(森永康平さん)
「土地がもう出回ってないので。そうすると、新築は逆に売れているわけですから市場に出回らない。日本人は結構新築が好きっていうか、“新築神話”みたいなのがあったのですけれども、最近はもう『新築がいい』という思いよりも、『家を買いたい』という思いが強くなって、『中古でいいや』ということで中古も買われているということです。」

「住宅ローン減税」控除縮小の検討

 一方、好調なマンション販売に影響を与えるかもしれない話が浮上しています。都内に住む20代のカップルに話を聞きました。二人は約2週間前に婚約。いまは住宅の購入を考えているということですが…。

(女性)「最初は一軒家を建てようと思っていて、資料をいろいろもらったんですけど…。」

Q.家の値段、どう思いましたか?
(女性)「高い。」
(男性)「高いね。」

「住宅ローン減税」引き下げ検討

 そんな二人が心配しているのが、「住宅ローン減税」の控除縮小を政府が検討していることです。「住宅ローン減税」とは、年末の「ローン借り入れ残高」の1%が、所得税や住民税から控除される仕組みで、年間、最大で40万円が減税される制度。政府・与党は、2022年度に向け、この減税制度の見直しを検討し、国交省は、控除率を0.7%に縮小することを提案しました。

(女性)
「資料をもらったんですけど、来年度もこの制度が引継ぎになるかはわからない、とは言われましたね。引き下げになったら損だし、今年度に買っておけばよかったと後悔する。」

 実際に、「住宅ローン減税」を利用した人からは、「助かりました、だいぶ。年間で40万円とか控除されるので。」という声や、「控除が10年なので、300~400万ぐらいですか。助かりましたね。」という声が上がる一方、控除が縮小されることについては「このご時世お給料はあまり上がらないでしょうし、物価も上がっていますし、せっかくのメリットが削られるっていうのは、かなりきついかなと思います。」という声がありました。

「住宅ローン減税」なぜ引き下げ?

Q.利息は払わなければいけないが、利息がものすごく低いし、控除の額のほうが多いので、現金を持っている人も“住宅ローンで買う方が得”となるのですか?

(森永康平さん)
「俗にいう“逆ざや”みたいな状況が起きていまして。本来、負担引き下げのためにやっていたのですが、儲かるわけではないんですが、お金が多くもらえちゃうよねと。その結果、何が起きるかっていうと、いま本当は買う必要がないんだけども、いまのうち買っちゃおうかという人が増えて、不動産価格がどんどん押し上げられるということです。」

Q.住宅ローンの繰り上げ返済が良いという時代もあったが、これをみると繰り上げ返済は損ですよね?
「その期間中は、仮に繰り上げ返済をできる余力があったとしても、しないという選択をする方も多いですよね。」

マンション価格は今後どうなる?

マンション価格 今後どうなる?

 では、今後のマンション価格の行方はどうなるのでしょうか。森永康平さんは、こう見ます。

(森永康平さん)
「新築は、今後も値上がりを続ける傾向はあるものの、人口減という構造的な問題があるので、そのうち値段が下がる可能性はあると思います。」

Q. 近い将来を考えると、少子高齢化だから物件は余ってくるよということですか?
「そうですね、ただ都内だけでいうと、例えば2045年ぐらいまで見ても、東京都内は特に、都心部は人口が増えていくといわれているので、今から20年ぐらいはまだ、少なくとも今の状況が続いてもおかしくはないです。」

Q.マンションを購入するか、賃貸かは、どう思いますか?
「いま、メディアとかでも『マンション価格が上がっている』という所が取り上げられているので、本当は、買うということは“リスク”があるので、ただ、上がっているよっていう情報があまりにも表に出過ぎていて、その“リスク”を理解しないまま買ってしまう人が多いという危険性はあると思います。」

Q.『賃貸でずっと払っていくお金』と、『自分のモノになるというお金』は、価値観ですよね?
「最近『今、持ち家を買ったら儲かるんですか?』って聞かれ方をよくするんです。その考え方は、そもそも間違っていて、自分のライフスタイルを考えた時に、賃貸がいいのか、持ち家がいいのかっていうのを考えるべきで、『どれぐらいの利益が出ますか』っていう人が増えているのが、非常に危険なにおいがします。」

(情報ライブミヤネ屋 2021年11月24日放送)

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