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【独自取材】“脱出”が相次ぐ上海で駅に市民が殺到!? ロックダウン“規制緩和”で約50日ぶりの外出も「何か所も警察官が立っていて、ピリピリとした雰囲気だった」
2022年5月26日 UP
“新型コロナ”の感染拡大で、全市民が外出を制限されるロックダウン(都市封鎖)が、2か月近く続いている中国・上海。感染者数は減少傾向にあり、少しずつ“規制緩和”されているということです。ロックダウン以降初となる外出許可が出されたものの、1日限定で許されたスーパーへの滞在時間はわずか1時間だったと言います。さらに、駅には上海から脱出する市民が殺到するなど、街には様々な変化があったようです。現地、NNN上海の長谷川敬典記者が上海の現状を報告します。
ついに“規制緩和” 約50日ぶり外出で街に変化は?
(NNN上海 長谷川敬典記者)
「封鎖が始まって今日で55日目です。外出許可も1日だけでしたので、まだ封鎖は続いています。自分の住むマンションのベランダからお伝えするのですが、今の街の様子は外出許可が出る地域も増えてきたので、人通りは以前より増えてきた印象です。今、外出するときは自家用車やバイクの運転が原則禁止されているので、市民は街中に多く停めてあるレンタル自転車を使いながら買い物に行ったり、出歩いたりしています。そして大きな変化としては、5月22日に一部の路線の電車の運行が再開され、利用客は少ないですが、数分間隔で電車が到着していて、町の様子が変わってきたことが実感できるようになってきました」
Q.自家用車やバイクはなぜ使ってはいけないのですか?
(長谷川記者)
「車などは別の特別な通行証が必要になります。今回の外出許可証はマンションの敷地から出ていいですよというだけの許可証なので、ルールが別なのです」
Q.長谷川記者も約50日ぶりに外出されたようですが、どのような経緯で外出許可が出たのでしょうか?
(長谷川記者)
「5月22日、日曜日の午前中に突然、マンションの管理者から『今日、外出できます』という連絡があり、玄関ドアの下に『外出許可証』が置いてありました。裏面には5月22日と日付も書いてあって、1日だけ限定の許可証ではあるんですが、これと一緒に近所のスーパーに1時間だけ入場できる招待状が届きました。一家庭で一人だけしか外出できないルールになっていたので、急きょ家族で誰が行くか相談して、私が行かせてもらうということで、妻から買いたい物リストを託されて出かけました。スーパーに入るまでには、何か所も警察官が立っていて、かなりピリピリとした雰囲気がありました。店内に入ると、感染対策を非常に気を付けながらやっていていました。商品も思ったよりは揃っていて、物資が手に入らないという状況ではないことを感じました」
Q.その日は長谷川記者の住むマンションの住人すべてに外出許可が下りていたのですか?
(長谷川記者)
「少なくとも私の住むマンションがある団地は一斉に許可されました。ただ、スーパーに入店できる時間は、私なら『12時半~13時半まで』と、かなり細かく地区によって決められていたようなんです」
Q.街中を歩くと、皆さん、買い物をされていますし、少しだけ日常が戻ってきた感じですか?
(長谷川記者)
「私が外出できた日は、外出許可が結構出た日のようで、歩いている人も多かったです。ただ外出のできる範囲というのは、1.5キロ四方ぐらいのエリアの中だけで、その中で営業しているお店はスーパーとコンビニと薬局が数店舗だけやっているという状況で、あとはまだ閉まっていました。そのため、街が以前のような雰囲気に戻ったという感じは全くありませんでしたし、営業しているコンビニも店内に入れずに、店の外から防護服を着た店員に『この商品ありますか?』と聞いて持ってきてもらうという少し変わった仕組みで営業していました」
Q.この外出許可というのは、どういうルールで運用されていのですか?
(長谷川記者)
「非常に複雑で、各地区によってまちまちで、誰がどういう基準で外出できるかというのがよく分からないんです。感染者がずっといない地区に住んでいても、外出許可がまだ一度も出ていないという方もいらっしゃいます。その地区の責任者の判断にもよるということで、不満が出ているところもかなりあるようです。そのため、私も次の外出許可がいつあるかというのはまだ分からない状況です」
Q.上海市の副市長が6月下旬までにロックダウンを解除する方針を表明しましたが、これを信じている人はいるのですか?
(長谷川記者)
「全く今は信じていないというか、気は緩めてはいけないなという気持ちが強いです。私のマンションではもう1か月以上感染者がいませんので、当初のルールではとっくに外出できていたはずなのですが、各自治会のルール規制によって外出できない、外出許可証がある日でないと出られないという運用に変わってきて、結果的に外出できていません。上海市の発表では、2200万人ぐらいが外出できる地区に住んでいます。今、外出できないのは42万人だけというような言い方をしていますが、実態とは全く違います。最近では、『6月1日から人数制限をしながらスーパーを全面的に開けていきます』とか、『6月1日から観光施設も開けていきます』という“聞こえのいい発表”は沢山するんですけれども、実際に外出できる人がそのときに何人いるのかというのは、また別問題なので、市民の方も『もう市の発表に一喜一憂しない、信じない』、そういったトーンで冷静に受け止めようとしています」
Q.一方で市外へ脱出する上海市民が続出しているようですが、上海を脱出するというのはいいのですか?
(長谷川記者)
「実はこれは上海市が5月の中旬に、『6月中には封鎖の解除をします』と発表したことによって、『まだ1か月以上も封鎖するのか』という受け止め方をした人が多かったからです。私も実際そう思いましたし、『まだまだ続けるつもりなのだな』と感じて、今脱出する人が多いのですが、なぜ脱出できるのかというと、上海から出る目的であれば、外出許可を出す団地・地区が最近増えてきたからです。ですから皆さん、駅に殺到して、どんどん上海以外の街、実家に帰るという動きをしています。チケットがなかなか手に入らないのか、駅で野宿してでもチケットを入手できるのを待って『なんとか上海から逃げたい』と、そういう方も多いです」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年5月25日放送)


