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“海外系”の宿泊予約サイト利用時は注意

【独自解説】予約した豪華ホテル、行ってみたら雑草生い茂る空き家だった…増加する海外系宿泊予約サイトのトラブル、注意すべき4つのポイントを専門家が解説

 行楽シーズンの秋、旅先の宿を探すため「宿泊予約サイト」を使う方も多いのではないでしょうか。そんな中増えているのが、“ウソの登録情報”によるトラブルです。豪華な貸別荘を予約したはずが、行ってみたら、なんと空き家だった…!そうしたウソ情報に騙されないために、注意すべきことは?航空・旅行アナリスト、鳥海高太朗氏の解説です。

夏の思い出づくりのはずが…ホテルの場所に行ってみたら空き家…写真無断利用されたオーナーも怒り

「ブッキング・ドットコム」で予約トラブル

 神奈川県の男性(21)は、海外の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」で、千葉県にある“豪華な一棟貸しの宿泊施設”を予約しました。8月14日というお盆の時期でしたが、割引もあり、4人で1泊3万3120円という破格の値段でした。

しかし当日、男性が友人3人と記載されていた住所に行ってみると、あったのは古びた空き家だけ。近所の人によると、10年ほど前から誰も住んでいない家でした。トラブルに遭った男性は、「お盆休みで他の宿も取れない中、騙されたなと。半月後に全額返ってきたが、悲しい気持ちは変わらない」と話しています。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏

Q.海外の予約サイトは、こういったトラブルが多いのですか?
(航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏)
「最近は、日本でも“民泊”が合法的に認められるようになりました。今回のケースは、ホテルのようにフロントにずっと人がいるわけではない『家主不在型』という形でしたが、インバウンドで物件数も増えている中で、予約サイト側が物件のチェックをしていなかったことが一番大きな問題だと思います。以前は、旅行業に登録している旅行会社を通して宿を取っていて、不正を犯せば免許取り消しになって、旅行会社として営業できなくなっていたので、絶対にこんなトラブルは起きませんでした。今は宿泊予約サイトを使うようになり、インターネット時代になったことで決済もネットでできてしまい、日本の法律の及ばない外国に本社がある予約サイトが出てきたことで、ずさんな“登録作業”ができてしまいます。日本の大手旅行サイトは旅行業に登録していて、こんな詐欺に近い内容をチェックせずに提供していたとなると、行政処分が出るレベルです」

「ブッキング・ドットコム」に掲載されていた架空の施設(左)と、実在する貸別荘(右)

 今回、被害に遭った男性が予約した“架空の施設”のページには、「新築・8月17日オープン・150平米」などと書かれていて、豪華な内装の写真が掲載されていました。しかし、それらは実在する貸別荘の写真で、施設名だけが変えられ、無断掲載されたものでした。

写真を無断利用された貸別荘のオーナーは怒り

 今回、写真が無断使用されたことで、「うちは架空ホテルになってしまった。お客様から『ここは大丈夫ですか?』など不安の声があった」という貸別荘のオーナー・中山哲史氏。中山氏によると、「ブッキング・ドットコム」に掲載されていた宿泊情報には、3つの怪しいポイントがあったといいます。

 まずは、今回掲載されていた説明文にあるような、「外風呂大型テラス海3分は、ホットタブを提供しています」といった『変な日本語』です。そして、口コミがなくて当たり前の『新規オープン』である点。最後に、実際の価格の半分以下という『格安料金』です。

Q.海外系予約サイトだから変な日本語なのかな、と思ってしまうのですが…。
(鳥海氏)
「日本の物件で日本語の表記だと宿側が提供することが多く、宿側もどんな表記がされているか確認しますので、こんな表記を出すことはあり得ませんから、この時点で怪しいとわかる方も多いと思います。しかし、今の日本人の宿探しは、日本の旅行予約サイトを見て『高いな』と思い、海外系予約サイトを見て『安い所があった』と一気に予約してしまい、細かい所まで読まないケースはあると思います」

「ブッキング・ドットコム」の回答に、専門家「この見解は無責任な言い方」

「ブッキング・ドットコム」の見解は…

「ミヤネ屋」の取材に対し「ブッキング・ドットコム」の広報担当者は、「サイト内で詐欺行為が行われていないか、サイバーパトロールに努め、セキュリティー強化を行っています。なぜ今回“架空ホテル”の掲載に至ったか、その経緯・理由を含め、社内で調査中です。他にも怪しいと思われる施設は、見つけ次第掲載を止めています」としています。また、「『ブッキング・ドットコム』を騙るメールにご注意ください。予約成立後に再度クレジット番号や追加の料金などを要求することはありません」と注意喚起もしています。

Q.「ブッキング・ドットコム」の見解をみると、詐欺師が勝手に入り込んでしまっているということですか?
(鳥海氏)
「登録するときの審査が甘い、というのが問題です。日本で宿泊業をやる場合は必ず旅館業法に登録しています。また、民泊の新法もできたので、その証明書や登録番号などがあり、外資系予約サイトでもそれらを求める会社も実際にあります。その番号が正しいかどうかも確認せず、架空ホテルを載せてしまったのは『ブッキング・ドットコム』なのに、この見解は無責任な言い方かなと思います。自社でサイバーパトロールをすると言いますが、そういう問題ではなく、登録している物件に関してはきちんと人がチェックするなどすべきです。架空ホテルを載せた予約サイト側の責任に触れていないのは、どうかと思います」

被害に遭わないために…注意すべき4つのポイント

トラブルに遭わないためにはチェックを入念に

 鳥海さんによると、トラブル回避のチェックポイントは4つあるといいます。
・過去の宿泊情報など口コミをチェック
・宿泊施設公式ホームページや他の旅行予約サイトなどをチェック
・事前に所在地やホテル情報などをチェック
・事前キャンセルできる予約方法を選択する

他にもある、旅行予約サイトに関するトラブル

Q.予約する際に「チェックイン時に支払う」を選択すれば、お金の面では安心ですか?
(鳥海氏)
「そうですね。でも、海外系宿泊予約サイトでは、7~8割は予約時に決済してくださいというところが多いです。ただ宿泊費は、一旦予約サイト側が預かり、客が宿泊した後に振り込まれるシステムなので、詐欺をした側にお金が渡ることはありません。しかし、日本語対応と書かれていても片言でしか話せないなど、予約サイトのサポートセンターの体制も問題になっています。トラブルが起こってメディアで話題になることによって危機意識も変わってきて、しっかりとした日本語を話せるスタッフを置かないと日本からの予約が減ってしまうだろうと、危機感を持っている海外系宿泊予約サイトも出てきています」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年9月19日放送)

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