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初めて外遊に同行した“ジュエ氏”

【思惑】後継者説が有力か?金正恩総書記が“ジュエ氏”と中国訪問 “留学説”の息子は?専門家らが分析する“娘”の地位と4つの指摘

 2025年9月、中国を訪問した北朝鮮・金正恩総書記。今回、外遊に同行したのは妻・李雪主(リ・ソルジュ)氏ではなく、“ジュエ氏”とみられる娘でした。果たして、“ジュエ氏”は有力後継者の地位を固めたのか?父・金総書記の思惑は?『コリア・レポート』編集長・辺真一氏の解説です。

■“ジュエ氏”公式行事には参加せず…金総書記の狙いは?

外遊同行も、公式行事には姿ナシ

 2025年9月2日、中国・北京に到着した金正恩総書記と“ジュエ氏”とみられる娘。“過去最長”4泊5日の中国訪問で、金総書記は『軍事パレードに参加』『各国首脳らが出席する祝賀会に出席』『ロシア・プーチン大統領と会談』『6年ぶりとなる習近平国家主席と会談』などを行いましたが、初の外遊同行となった“ジュエ氏”は、出迎えた中国側との会話はなく、その後、公式行事で姿は確認されませんでした。

 韓国メディアは、「主役を奪うことを恐れたか=“ジュエ氏”の存在が世界的に注目され、中国側が不快に思うのを憂慮したか」「まだ“12歳”で正式な外交舞台をこなすには経験不足と判断か」と分析しています。

『コリア・レポート』編集長 辺真一氏

Q.“ジュエ氏”は随分背が高くなって、大人っぽくなりましたよね?
(『コリア・レポート』編集長 辺真一氏)
「変わりましたね。2013年生まれで12歳の第2子説がありましたが、私は、もしかするとこの子が2010年生まれの第1子で、今ちょうど15歳ではないかと、そういう気がしてなりません」

記録映画には複数回登場

 公式行事には“ジュエ氏”の姿がなかった一方で、帰国から“1日足らず”という異例の早さで公開され、3日間で12回放送された記録映画には、『北京到着』『大使館訪問』『帰途の列車内』『平壌到着』と複数のシーンで登場しました。

 “ジュエ氏”の動向について、韓国・国家情報院は「大使館に滞在し、外部への出入りを控えたか」「帰国時もあらかじめ専用列車に搭乗し、メディアへの露出を回避か」と分析しています。

Q.なぜ、過去に同行していた李雪主夫人ではなく、“ジュエ氏”を連れて行ったのでしょうか?
(辺氏)
「後継者だからだと思います。金総書記からすれば、最初から式典や晩餐会は頭になく、このように映像を撮って、北朝鮮の人民に『娘の“ジュエ”は中国で大変な歓待を受けた』と見せつけるだけで十分ではないかと思います」

■「地位固めた」vs.「時期尚早」意見が分かれる“後継者論争”

“ジュエ氏”の地位、それぞれの分析

 “ジュエ氏”後継者説について、韓国・国家情報院は「有力な後継者としての地位を固めた見方ができる」「訪中は世襲を念頭に置いた一つの過程か」と分析しました。一方で、『朝鮮日報』は「訪中した韓国の与党議員が『金総書記の息子は西側世界のどこかに留学しているはず。これを隠すため、“ジュエ氏”を前面に立てている』と後継者説を否定している」と報じました。

“ジュエ氏”以外の子の存在は?

 しかし、韓国・国家情報院は、“ジュエ氏”以外の子の存在については「有力ではない」と分析し、“海外留学中の子どもがいる説”についても「留学はいくら隠そうとしても隠しきれない」として、可能性は低いとしています。

“後継者説”は時期尚早か?

 ただ、韓国・慶南(キョンナム)大学校『極東問題研究所』の研究員は、“後継者説”は時期尚早だとして4つの主張を発表しました。

主張① 金正恩総書記は1984年生まれ。後継者を選定するには、まだ若い。
主張② 2021年に『党第一書記』(総書記の代理)職を新設し、万が一に備えている。
主張③ “ジュエ氏”は幼すぎる。名前も明かさず、役職・固有の呼称もない。
主張④ 北朝鮮では依然として男尊女卑が強い。

Q.金正恩総書記はスイスに留学していたのに突然現れて後継者になりましたが、ひょっとしたら“ジュエ氏”以外にも…という考え方はありませんか?
(辺氏)
「後継者を留学させる=その国に北朝鮮の大使館があることが前提です。しかし、北朝鮮の大使館は西側の情報機関にとって監視の対象なので、金総書記の子どもの面倒を見ていたら、すぐにバレると思います。ましてや“ジュエ氏”については、金総書記が自分で跡を継がせると決めています。子どもなので役職などはないでしょうが、成人すれば就ける話なので、今は後継者として育成・修業させていると見たほうが妥当ではないかと、私は考えています」

Q.“ジュエ氏”が後継者だとするならば、早めに国内外にアピールしたほうが良いと判断した可能性もありますか?
(辺氏)
「そうですね。金正恩総書記は父親が2011年12月に亡くなって、2012年、すぐ政権の座に就きましたが、その年に軍のトップのリ・ヨンホ総参謀長がいわば謀反を起こし、翌年には叔父のチャン・ソンテク氏が逆らいました。このような経験をしているから、早い段階で軍・党の支持や忠誠心を取り付けようという“親心”ではないかと、私は見ています」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年9月18日放送)

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