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混合ダブルス優勝の加藤選手とプッツ選手(写真提供:ゲッティ)

【独自解説】失格処分からの混合V!全仏OPで快挙達成の加藤未唯選手、強さの秘訣は「目とバネと勇気」杉山愛さんが解説

 ボールパーソンの女の子にボールが当たり、女子ダブルスを失格処分になった加藤未唯選手が、混合ダブルスで初優勝しました。ボールパーソンの女の子とは、笑顔のツーショットも公開しました。元・プロテニスプレーヤーで日本代表監督を務める杉山愛さんの解説です。

元プロテニスプレーヤー 杉山愛さん

 8日に決勝を迎えた、全仏オープン・混合ダブルス。加藤選手とプッツ選手ペアは、1セット目こそ相手ペアに取られますが、2セット目を奪い返し、10ポイントを先に取ったほうが勝ちとなるタイブレークでは10-6と差をつけ勝利し、4大大会初制覇を果たしました。日本人選手が全仏オープンのこの種目で優勝するのは、2022年の柴原瑛菜選手に続き、2年連続の快挙です。

Q.決勝の加藤選手のプレーを見て、どこが一番良かったですか?
(テニス女子日本代表監督 杉山愛さん)
「セカンドセットの終わりですね。セカンドセットの中盤ぐらいから、加藤選手の持ち味である切れ味の鋭いボレーがビシビシ決まっていたので、チームを引っ張っていたぐらいの活躍だったと思います。加藤選手は目が特に良いので反応も速くて、あれだけバネがあるので、躍動感ある動きが彼女の持ち味なんですけど、それがしっかり出ていたと思います」

Q.男子選手が打った球を女子選手が返すというのは、大変ではないのですか?
(杉山さん)
「本当に怖いです。私も混合ダブルスに出ていましたけど、普通ならあんなに手が出ないです。男子選手のボールは、スピン量がすごくスピードも速いので、下手すると弾かれてしまうぐらいの威力です。加藤選手は勇気があって、本当によく動いていました」

締め切り直前だったペア結成

 抜群の相性を見せた加藤選手とプッツ選手は、実は急造のペアでした。ドイツメディア「WAZ」によると、互いに別のパートナーと組む予定でしたが、必要なランキングポイントが不足していたため、加藤選手の当初のパートナーがプッツ選手に加藤選手を勧めて、エントリーの締め切り直前にペアを結成したということです。

Q.ペアは、どのように決めるものなのですか?
(杉山さん)
「上位選手には、『組もうね』と決めているペアもいます。ただ、混合ダブルスはグランドスラムとオリンピックしかなく、グランドスラムのときは32組しか出られません。エントリーがものすごく少ないペアで、上の選手同士で組まれてしまうので、下の選手らは組み換え組み換えで、最後は2分前などでバタバタッと動くことが、毎回のようにあります」

失格判断にビデオ判定の適用なし「新たなルール必要」

 女子ダブルスの失格について加藤選手は、大会運営責任者に「『ビデオを見てくれたらわかるけど』と言ったが、『ビデオを見ることはできない』と言われた。オフィスに呼ばれて、『あまり見ていないけどアンラッキーだね』としか言われなくて」と明かしていました。

 では、なぜビデオで判断できないのでしょうか?国際レフェリーの松野えるだ氏によると、「現在のルール上、ビデオ判定を行うことができるのはボールのイン・アウトの判断のみで、それ以外のプレーや今回のような事案にビデオ判定を使うには、新たなルールを設ける必要がある」ということです。

Q.悪意を持ってボールを打ったのかどうかなどもビデオ判定でわかるよう、明文化したほうが良いのではないですか?
(杉山さん)
「今回のことは、動画を見返したら一目瞭然だったと思いますので、新たにルールを加えていくことは、今後必要だと思います」

ボールパーソンの女の子と笑顔でツーショット

 その後、加藤選手は自身のツイッターを更新し、あのボールパーソンの女の子と笑顔のツーショットを掲載しました。加藤選手は、「あなたが元気にボールガールのボランティアを続けていると聞いて、本当に安心しました。また会えるのを楽しみにしています。これからも頑張ってください!」とボールパーソンの女の子にエールを送りました。

Q.加藤選手もですが、ボールパーソンの女の子も笑顔になっているのを見ると、ホッとしますね。
(杉山さん)
「この写真を見たときは、本当にホッとしました。加藤選手は今、勢いに乗っていますし、一緒のチームで戦えたら嬉しいなと思います。テニスが盛り上がっていて嬉しいです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年6月9日放送)

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