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逮捕された尾本幸祐容疑者

【独自解説】殺人容疑の中学教諭、窃盗目的で侵入も「刃物は事前に準備、見つかったら殺害するつもりだったはず」元刑事が容疑者の心理を分析

 今年2月、江戸川区に住む山岸正文さん(63)が、顔や首などを刃物で複数回切り付けられるなどして殺害された事件で、5月10日、現役の中学校教諭・尾本幸祐容疑者が逮捕されました。この2人の接点はどこにあったのか?なぜ殺害にいたったのか?元大阪府警刑事の中島正純氏が解説します。

事件の概要

 尾本容疑者は、現場近くの防犯カメラの映像等から、事件への関与が浮上し逮捕に至りました。尾本容疑者は投資などで数百万円の借金があったとみられ、警視庁は、容疑者が窃盗の目的で住宅に侵入し、帰宅直後の山岸さんと鉢合わせになって犯行に及んだとみて詳しい状況を調べています。尾本容疑者は、警察の調べに対し「事件には関わっていません」と否認しているということです。

元大阪府警刑事 中島正純氏

Q.犯行が2月で逮捕が5月なのですが、この逮捕までの期間はどう考えればいいのでしょう?
(元大阪府警刑事 中島正純氏)
「私は、スピーディーな逮捕だったと思います。殺人事件には、大きな理由が二つあります。一つは怨恨・恨みですね。もう一つは通り魔的な犯行、行き当たりばったりです。今回は、この容疑者に借金があり、被害者宅に窃盗目的で侵入したと考えるのなら、行き当たりばったりの犯行にあたります。容疑者が『被害者の山岸さんに荷物を運ぶのを手伝ってほしいと言われ、家の中に入ったことがある』という話をしているので、顔見知りの可能性もあり、被害者とトラブルがなかったかなどの人間関係を調べていて、時間がかかったのかなと思います」

窃盗目的で侵入し犯行に及んだか

Q.容疑者の「山岸さんに荷物を運ぶのを手伝ってほしいと言われ、家の中に入ったことがある」という話をどう思いますか?
(中島氏)
「警察が具体的な証拠のことを言うことはありませんが、『被害者の家の中などに、容疑者の痕跡があった』と警察から言われたときに出た言い訳ではないかと思います」

殺害状況と当日の経緯

Q.被害者の顔や首・腕などに多数の刺し傷・切り傷があった点をどう考えますか?
(中島氏)
「窃盗目的ということも言われていますが、刃物は事前に準備していたと考えられます。被害者は玄関で倒れていたということですので、帰って来たのに驚いて犯行に及んだと考えられますが、被害者が帰って来たのを確認して、台所などに刃物を取りに行って殺害したとは考えられません。窃盗目的であったとしても、見つかったら殺害しようと考えていたと思います」

容疑者の自宅や勤め先と被害者宅との距離

 逮捕された尾本容疑者の勤務する中学校と、被害者の山岸さんの自宅とは約200mしか離れていません。また、容疑者の自宅と被害者の自宅との距離は、荒川を挟んで約3kmだということです。

Q.なぜこのお宅を狙ったのでしょう?
(中島氏)
「もし顔見知りだったとすれば、高齢の母親と高齢の息子の2人暮らしだったので、入りやすいと思ったのかもしれません」

尾本容疑者の人物像

 尾本容疑者が勤務する中学校の校長によると、容疑者の人物像は「普段は明朗快活。誰とでも穏やかに会話できる教員。日常の勤務状況も良好で明るく、一人一人の個性をしっかりと見て、個々に応じた丁寧な対応をしているとみていた」とのことです。また、容疑者の近所の人は「子どもたちとすごくよく遊んでいた。だから子煩悩だなって」と話しています。保護者の一人は「親しみのある先生だった。みんなに挨拶してくれる…ショックです」と語りました。

Q.尾本容疑者の周辺で、容疑者を悪く言う人がいません。また、逮捕の前日まで学校に普通に勤務していて、連行されるときも顔を伏せていないのですが…
(中島氏)
「犯行を否認していますので、顔を隠したら負けだと思っているのかもしれません。多くの人が『良い人だった』『こんなことをする人とは思わなかった』と言っていますが、私の捜査経験からすると“まさかこんな人が”という人物が犯罪を行うことも多いのです」

(情報ライブミヤネ屋2023年5月11日放送)

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