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【独自解説】北朝鮮の新型ICBM発射は「6発の核兵器搭載実験」!?今後は「“核実験”の恐れも…」専門家が分析
2022年3月25日 UP
北朝鮮の労働新聞は3月25日、日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下した弾道ミサイルについて、新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星17」の発射実験に成功したと報じました。今回発射された新型ICBM「火星17」は、直径や全長が従来のものを上回っていて、韓国では「怪物ICBM」と呼ばれています。2017年11月以来、4年4か月ぶりにICBMを発射した朝鮮の狙いは、一体何なのでしょか?そして今後の動きは?北朝鮮情勢に詳しい龍谷大学の李相哲(り・そうてつ)教授が解説します。
北朝鮮の“怪物”新型ICBM開発の狙いは?
(李聡哲教授)
「まず一つ、訂正しないといけないことがあります。今まで北朝鮮が発射した怪物ICBMを『火星17』と呼んでいましたが、北朝鮮の3月25日の労働新聞は『火星“砲”‐17』と書いています。砲弾の“砲”です。これは、『今までのICBMとは格が違うんだ』という意味かもしれません」
「火星砲‐17」は最高高度6000km、飛翔距離1100km、通常の角度で打つと1万5000kmを超えて、アメリカ全土を射程に収められると考えられます。
Q.今までのICBMとはかなり違うようですが、実験は成功したと言っていいんですか?
(李聡哲教授)
「3月25日の労働新聞をみますと、『技術力と国防力を誇示した』とはっきり書いていますので、今回の発射実験はかなり満足のいく結果だったと思います」
Q.日本海の予定した水域に正確に着弾したとは発表されていますが、日本のEEZ(排他的経済水域)内というのも想定済みということですか?
(李聡哲教授)
「労働新聞には『予定水域に正確に着弾した』と書いてあります。日本のEEZ内に着弾するのを予想して撃ったとなれば、まさに暴挙です。ミスで落ちたとしても大問題なので、座視はできません」
Q.今回の新型ICBMは、核爆弾の小型化ができないからミサイルの方を大きくしたんですか?
(李聡哲教授)
「北朝鮮は2018年4月の党大会で、『核兵器の小型化は実現した』と言っていますので、今回の火星砲‐17は“多弾頭”の、例えば6発とかの核兵器を一気に載せる実験をしたと考えられます」
核実験も?発射の狙いと今後の動き
今回の北朝鮮のICBM実験は、韓国次期大統領の尹 錫悦(ユン・ソギョル)氏が北朝鮮に対して強硬姿勢を示しているので、それへのけん制の意味合いの可能性もあるとのことです。
Q,今回の北朝鮮のICBM発射は、韓国へのけん制以外にもっと大きな目的があるのでは?
(李聡哲教授)
「究極の目的は、今年中に核保有を既成事実化して“核保有国”としてふるまって、アメリカに対して『話をしたければ核保有国としての我々と話しなさい』という風な態度に出るためだと思います。それと、今ウクライナ侵攻などで力の空白が生じていて、国連安保理が何もできない状態です。北朝鮮への制裁には、間違いなくロシアが反対すると判断したのでしょう」
Q. 5月10日には韓国の大統領就任式がありますが、今後、北朝鮮はどんな動きをしてくると思いますか?
(李聡哲教授)
「北朝鮮の残る課題は、“軍事衛星”の発射と“核実験”、ほかにも“潜水艦”などがあります。今後、軍事衛星を発射して、そのあと核実験、という動きは見せています。労働新聞にも『最優先課題でこれに取り組む』とはっきり書いています。すべてを投げ打ってこれに熱中しているという状況です」
(情報ライブ ミヤネ屋 2022年3月25日放送)


