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世界でも迷惑動画が問題に

【独自解説】いたずらで逮捕、ドッキリで死者、最新の流行は公園備品の破壊?アメリカでも問題多発の迷惑系動画、現地ではどう対応?デーブ・スペクターが解説

 日本で相次ぐ“迷惑動画”ですが、回転寿司店でのあきれた行為は、海外でも「スシ・テロリズム」として大きく報じられています。また、アメリカでは、こうした動画で命を落とすケースもあるといいます。デーブ・スペクターさんが解説します。

多数の海外メディアが「スシ・テロリズム」と報道

回転寿司店での迷惑行為 海外では「スシ・テロリズム」と報道

 こうした、日本の回転寿司店での迷惑行為を、海外メディアは「スシ・テロリズム」と報じています。イギリスの「ガーディアン紙」は「悪ふざけで日本のしょうゆが台なしに!!」、カナダの「トロント・サン紙」は「寿司店でペロリ被害」などと報じています。

アメリカでの「スシ・テロリズム」記事を紹介するデーブ・スペクターさん

Q.アメリカでも大きく報じられているのですか?
(デーブ・スペクターさん)
「『ワシントンポスト』をはじめ、ありとあらゆる媒体で報じられ、とても残念な事態になっています。長年の努力で日本の寿司文化は海外に広まりました。最近は回転寿司のチェーン店も海外進出しているし、あちこちで普通に寿司が食べられるようになっています。本場の回転寿司が見たくて、日本の回転寿司店を訪れる海外からの旅行客もいます。日本での回転寿司の体験を、Youtube に好意的に楽しく載せている人は数えきれないくらいいますので、大変残念な報道です」

“迷惑動画”海外では逮捕者や死者が出たケースも

アメリカでは“迷惑行為”動画で逮捕

アメリカでは、迷惑動画で逮捕者も出ています。2021年にアメリカのユーチューバーが、ニューヨークのタイムズスクエアのど真ん中で、運転手が突然気を失ったら周りの人々はどんな反応をするのか、という検証動画を撮りました。警察と消防は、動画の撮影と知らずに出動・救助をしたのですが、一帯は大パニックになりました。後日、Youtubeに動画が投稿され、救出の一部始終が撮影されていたことが発覚。このユーチューバーは公的機関の業務を妨害した容疑で、逮捕されたということです。ニューヨーク市警は「本当に救助を求めている人々への対応が遅れることになった」としています。

Q.当日は、治ったということで帰って、後日ばれて逮捕されたんですね
(デーブさん)
「この行為は大きな反感を買いました。このユーチューバーは過激な動画を投稿することで知られ、動画で100万ドルを稼いでいます。中には無害で笑えるものもあるのですが、基本的に“やり過ぎ動画”で人気を得てフォロワーを増やしています。今回は、治安の悪いニューヨークの真ん中でこんなことをしたので、大ひんしゅくを買いました」

イタズラ動画”撮影で死者も

 さらに亡くなった人も出ています。2021年、アメリカのテネシー州で20歳の男性が友人と、「包丁を持ち通行人を驚かす」というドッキリ企画の動画を撮影していました。それを見かけた通行人が銃を発砲し、男性は撃たれて死亡しました。通行人は「ドッキリ企画だとは知らなかった」と正当防衛を主張し、この事件での逮捕者はいないとのことです。

Q.アメリカは、銃社会ですから一歩間違うと撃たれますよね。
(デーブさん)
「以前日本の留学生が、ハロウィンのときに住宅に入り撃たれるという残念なことがありました。今は当時と比べても拳銃を持つ人が増えています。さらに以前はなかったのですが、家の外でも所持している人もいて、自己防衛のために撃つこともあります。ですので、こういうドッキリは一番してはいけないことです。YoutubeやTikTokはドッキリ企画の投稿からが始めやすいのですが、もう少し想像力を働かして、別のことで笑いを取ればよかったんです」

アメリカの元祖“迷惑系”ユーチューバーのローガン・ポール氏とは?

元祖“迷惑系”ユーチューバー ローガン・ポール氏

 アメリカのローガン・ポール氏は、元祖迷惑系ユーチューバーと言われています。彼のチャンネル登録者数は2300万人以上いて、年収は約24億円ともいわれています。また、ボクサーなどとしても活躍していて、2021年にはメイウェザー選手とエキシビション大会で対戦し、話題となっています。

Q.この人は、どうやってメイウェザー選手と対戦できたのですか?
(デーブさん)
「日本もそうですが、Youtubeで知名度を得ると、“有名人”や“話題の人”になって、いろんなオファーが来ますし、自分の企画も通るようになります。Youtubeでの知名度を利用して有名になり、スポンサーが付くこともあります」

Q.迷惑系ユーチューバーになると過激な動画を上げ続けなくてはならなくなってしまいます。やがて一線を超えるのでは?
(デーブさん)
「視聴者の期待もありますし、しなくなると他の人に人気が移るというのもあって、続けてしまうのだと思います。楽しい動画を作る方にシフトすれば良いのですが、残念なことに過激な動画をやり続ける人が多いです」

日本で撮影した動画で“大炎上”

 ローガン・ポール氏は、日本で撮影した動画が大炎上したことがあります。2017年に富士山麓「青木ヶ原樹海」で、自殺したとみられる男性の死体に遭遇する動画を投稿しました。その中で笑う様子などがあり、見た人から非難のコメント殺到したため、すぐに削除しました。しかし、削除までに数百万回再生されてしまいました。ほかにも日本で、走行中の車にクッションを投げつけたり、築地市場で勝手にトラックに乗ったり、渋谷のスクランブル交差点でタコと生魚を持って暴れたりする動画を投稿し、炎上しています。

大炎上“迷惑動画”の代償

 これらの迷惑動画の大炎上で、ローガン氏のユーチューブチャンネルの削除を求め、5万件以上の署名が集まり、チャンネルの広告掲載が一時停止しました。

新たな迷惑動画「デヴィアス・リック」(卑怯な窃盗)が社会問題に

アメリカでは新チャレンジ動画が流行

 また、アメリカでは「デヴィアス・リック」(卑怯な窃盗)と言われる、学校や公園の備品を盗んだり破壊したりするチャレンジ動画を、TikTokに投稿することが流行しました。これにより少なくとも13人の生徒が、器物破損などで刑事責任を問われたということです。10代の男子生徒は、「かっこ良く見せたかった。TikTokで流行っていたので自分もやってみたかった」と話しています。

アメリカでは子どもたちのメンタルケアの重要性が注視

 デーブさんによると「SNSなどの最新事情やその危険性を教えるのも大事だが、アメリカでは、子どもたちのメンタルケアの重要性が注視されている」ということです。

Q.そんなところまで来ているのですか?
(デーブさん)
「デジタルリテラシーの必要性も言われていますが、同じTikTokで、『自分が大好きな学校の石けんなどが盗まれて、申し訳ない』と思った子供たちが、寄付を集めて学校にいろんなものを贈ったということもありました。SNSには危険だけではなくて、良い事もあります。しかし正しい使い方を学校や親が教えても、仲間外れになりたくないという思いから、悪い動画を投稿してしまうこともあるといいます」

Q.日本の回転寿司店や牛丼店の迷惑動画は、アメリカだと企業から多額の損害賠償を請求されるのでしょうか?
(デーブさん)
「大企業が個人を訴えた場合は、たくさんの弁護士で個人を追い込んだように見え、企業のイメージが悪くなります。勝っても賠償金を取れないことが多いので、刑事事件に持っていくようです」

(情報ライブミヤネ屋2023年2月8日放送)

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