<2019年9月1日に書きました。>
付箋のメモが出て来ました。日付は「12月17日」ですが「何年の」かは、わかりません。
そこには、こう書かれていました。
(NHK)規制線が張られ
(テレビ朝日)規制線が敷かれ
うーん、どっちが正しいのか?もしくは両方正しいのかな?
グーグル検索してみました。(9月1日)
「規制線を張る」=9540件
「規制線を敷く」= 308件
圧倒的に「張る」が使われていますね。
「敷く」ほうのトップには、なんと私が書いた「平成ことば事情6195規制線 イエローテープ」が出て来て、その中に、2016年9月の新聞用語懇談会放送分科会で、
『「規制線」は「張る」「敷く」「引く」どれが正しいか。』
という質問が載っていました。それに対する回答は、
*警視庁詰めしていた際、現場リポート等で「規制線が張られている」とよくった。黄色いテープ状のものなので「張る」イメージ。
*黄色いテープは、そもそも「規制線」なのか?
*読売テレビではテープを「規制線」とは言わないようにしている。原則的にはテープについては「ここから先は立ち入りが規制されています」などと表現。一方「規制線を敷く」とする場合は、重点範囲内の警察の捜査態勢を示すのではないか。ただ、ニュース等で使った記憶はない。「付近で検問を強化」という感じか。
*捜査関係者は黄色テープを「規制線」と呼んでいるのか?
*先日の和歌山での立てこもり事件の際には使っていたと思う。あの事件では拳銃の射程の内と外を分ける境界としての意味を含んで、実際「規制線が張られている」感が強かった。
ということでした。
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それから「7年」経ちましたが、きょう(2026年4月9日)、「ミヤネ屋」のスタッフから、質問を受けました。
(Q)「規制線」は「張る」?「敷く」?
みんな気になってるんだね。
(A)「規制線」には「2つ」種類があります。
元々は、
「捜査員を配備して、その範囲の外に容疑者が逃げないようにすること」
これを、
「規制線を張る」
あるいは「そういった態勢にする」ことから、
「規制線を敷く」(=「規制体制を敷く」)
と言いました。その意味では、
「捜査線」
も同じですね。そんな「現物の線」はありませんから。チョークで線など引きません。
つまり、
「目に見える物質的な『線』ではなかった」
のです。
しかし近年、
「事件現場に、捜査関係者以外が立ち入らないように引っ張る『Keep Out』の黄色いテープ」
のことを指して、
「規制線」
と呼ぶようになり、それが主流となってしまいました。(放送で出ないように、かなり抵抗していたのですが、もう無理でしょう。)
これは、物理的に「テープ」ですので、
「規制線を『張る』」
しかないと思います。
その意味では、「規制線を~」
*「敷く」=捜査体制
*「張る」=立ち入り禁止のテープ
と使い分けてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
なお、「放送で気になる言葉2025」(79ページ)には、以下のように載っています。
*『規制線を「張る/敷く/引く」』
糸状のものをかけ渡したり、布状のものを広げたりするのは「張る」。「敷く」は一面に並べることだが、「何かを一定の範囲にわたって、行き渡るようにする」(「新明解国語辞典」)の意味もある。
「規制線」は本来、犯人を逃がさないために交通規制をかけることを言う。規制を行き渡らせるものだから、「~を敷く」「~が敷かれる」と表す。
犯行現場や事故現場には、一般人の立ち入りを規制するために用いる「KEEP OUT」と書かれた黄色いテープやロープが張られる。最近では、これを指して「規制線」と呼ぶことも多くなっている。ある区域を囲んでかけ渡す状態なので、この場合は「~を張る」「~が敷かれる」の表現が使われる。
現場に線が引かれているわけではないから、「引く」はふさわしくない。「規制線を引く」は、シとヒの類似性から混同した俗語的用法だろう。
とのことです。
また、ことし1月に読んだ警察小説『分水~隠蔽捜査11』(今野敏、新潮社)に、「現場に張られる黄色いテープ」を「規制線」と表現している箇所が多々あって、
「ああ、もうその意味での『規制線』は、警察小説でも説明なく使われているのだな」
と思いましたので抜き書きしました。
(P72)「規制線を張り直してもらうんです」
「規制線ですか」
「まずは規制線で対処します」
(P97)「安達邸の前に黄色い規制線が張られていた」
「規制線を張ってからは、屋敷に近づいてきません」
「報道陣は、規制線よりはるかに遠い場所に列を成して陣取っている」
(P107)「規制線の向こうには、先ほどと同じ係員が立っていた」
「さっと規制線を持ち上げた」


