10349「『すくっと』か『すっくと』か」

2026 . 3 . 30

10349

 

 

フェイスブックのお友達が、美術館の屋根の上に止まったサギの様子を指して、

「すくっ!」

と書いていました。首が真っすぐに伸びた、背筋の伸びたような姿勢を、そう表現したのでしょう。しかし、

「すくっと」

という単語は、辞書の見出しにはなく、代わりに、

「すっくと」

はあるのです。

つまり、伝統的には、

「すっくと」

と言っていたのが、最近は、

「すくっと」

と言われるようになってきたのではないか?という気がします。

2019年9月の「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていた時に、この「すくっと」が出て来て「すっくと」に直していました。

×「すくっとお立ちになりました」→〇「すっくとお立ちになりました」

その際は、

「30年前、日本テレビの女性アナウンサーが『すくっと』としゃべっていたのをVTRで聞いたことがあるが、30年ぶりに出て来てテロップを直した形に。」

と書いていました。それからもう「8年」経っていますが。

「三省堂国語辞典」を引いたところ、見出しは「すっくと」しかありませんでしたが、その語釈の最後に、

「すくっと」

と「単語だけ」書かれていましたから「三国」も「見出し語」に取るほどではないが、「すくっと」という言葉も使われている実態は把握しているのだな、と思いました。

「精選版日本国語大辞典」には「すっくと」しか載っていませんでした。

「明鏡国語辞典」も「すっくと」しか「見出し語」はありませんでしたが、語釈の最後に、

「すくと」

という「小さい『っ』」が入らない形は載っていました。そうか、それを強調したら、。

「すっくと」

になったんですね。「す」の後に「小さい『っ』」が来ているということは、強調している音は「す」ですね。「すっきり」は「すーっと」したから「す」の後に「小さい『つ』」が来ている。もともとは「すきり」なんでしょう。それと同じではないか。

これが「すくっと」だと強調しているのは「すく」という「2語」になる。これは本来の形ではない。でもここ20年ぐらいでよく出てきている表現は、

「うすっ」「はやっ」「やすっ」「うまっ」「たかっ」

というように、

「薄い」「早い」「安い」「うまい」「高い」

というような、

「3文字の形容詞の語尾の『い』を省略して、語幹2文字に小さい『っ』を付ける形」

です。

「すくっと」

は、もしかしたら、そういう言葉の影響を受けたのかもしれませんね。形が似ているから。

それと「すく」という言葉は、

「真っすぐ」

の「すぐ」とも共通しているのではないでしょうか?「真っすぐ」は、

「まさに『すぐ』」

がさらに強調されて「真っ」が付いた形。「すぐ」は漢字で書けば(常用漢字表の訓読みには載っていないけど)、

「真っ直ぐ」

つまり、

「すぐ=直」

というわけです。だから「すっくと」いうのは、

「直(すっく)と」

という意味でつながるんじゃないかなあと思ったのです。

いかがでしょうか?

 

(2026、3、30)