フェイスブックのお友達が、美術館の屋根の上に止まったサギの様子を指して、
「すくっ!」
と書いていました。首が真っすぐに伸びた、背筋の伸びたような姿勢を、そう表現したのでしょう。しかし、
「すくっと」
という単語は、辞書の見出しにはなく、代わりに、
「すっくと」
はあるのです。
つまり、伝統的には、
「すっくと」
と言っていたのが、最近は、
「すくっと」
と言われるようになってきたのではないか?という気がします。
2019年9月の「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていた時に、この「すくっと」が出て来て「すっくと」に直していました。
×「すくっとお立ちになりました」→〇「すっくとお立ちになりました」
その際は、
「30年前、日本テレビの女性アナウンサーが『すくっと』としゃべっていたのをVTRで聞いたことがあるが、30年ぶりに出て来てテロップを直した形に。」
と書いていました。それからもう「8年」経っていますが。
「三省堂国語辞典」を引いたところ、見出しは「すっくと」しかありませんでしたが、その語釈の最後に、
「すくっと」
と「単語だけ」書かれていましたから「三国」も「見出し語」に取るほどではないが、「すくっと」という言葉も使われている実態は把握しているのだな、と思いました。
「精選版日本国語大辞典」には「すっくと」しか載っていませんでした。
「明鏡国語辞典」も「すっくと」しか「見出し語」はありませんでしたが、語釈の最後に、
「すくと」
という「小さい『っ』」が入らない形は載っていました。そうか、それを強調したら、。
「すっくと」
になったんですね。「す」の後に「小さい『っ』」が来ているということは、強調している音は「す」ですね。「すっきり」は「すーっと」したから「す」の後に「小さい『つ』」が来ている。もともとは「すきり」なんでしょう。それと同じではないか。
これが「すくっと」だと強調しているのは「すく」という「2語」になる。これは本来の形ではない。でもここ20年ぐらいでよく出てきている表現は、
「うすっ」「はやっ」「やすっ」「うまっ」「たかっ」
というように、
「薄い」「早い」「安い」「うまい」「高い」
というような、
「3文字の形容詞の語尾の『い』を省略して、語幹2文字に小さい『っ』を付ける形」
です。
「すくっと」
は、もしかしたら、そういう言葉の影響を受けたのかもしれませんね。形が似ているから。
それと「すく」という言葉は、
「真っすぐ」
の「すぐ」とも共通しているのではないでしょうか?「真っすぐ」は、
「まさに『すぐ』」
がさらに強調されて「真っ」が付いた形。「すぐ」は漢字で書けば(常用漢字表の訓読みには載っていないけど)、
「真っ直ぐ」
つまり、
「すぐ=直」
というわけです。だから「すっくと」いうのは、
「直(すっく)と」
という意味でつながるんじゃないかなあと思ったのです。
いかがでしょうか?


