『四十一番の少年』(井上ひさし、文春文庫:2010、12、10新装版第1刷・2020、8、5第5刷)

2025 . 9 . 26

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昔読んだ作品。この文庫本も最初に出たのは1974年11月。その頃「文春文庫」が出来たが、当時は新潮文庫や角川文庫に比べると、文春文庫は明らかに紙の質が悪く、そのくせ値段も高かったように思う。岩波文庫よりも悪かった。講談社文庫の紙が白くてツルツルしていた記憶がある。何年かして、文春文庫も紙の質が良くなったなと感じた。今はもう新潮文庫なのかと思うぐらいで、その差は分からなくなったが。

そんなことを思い出すぐらい、中学時代、つまり半世紀前に読んだはずのこの本を、再び手に取ることになったきっかけは「素因数分解」だ。「ミヤネ屋」の台本に書かれた「放送回数」を毎日「素因数分解」するのが、今の楽しみの一つなのだ。現在放送回数は4800回台になっている。先日、いつものように「素因数分解」をやっていたら、最後に「41」で割り切れた。「41は素数」である。それ以上は割り切れない。そこで、

「41と言えば、昔、井上ひさしに『41番目の少年』って作品があったなあ」

と思い出して、読んでみる気になったのだ。実際、本屋に行くと、あった!でも、

「41番目」

ではなく、

「四十一番の少年」

だったが。そう、井上ひさしにとっては自伝的な小説で、戦後まもない仙台の「孤児院」、今でいう「児童養護施設」が舞台だ。そこで生きなくてはならない少年と弟、家族の複雑さ、孤児院の中での「いじめ」や「事件」を描いた、決して楽しい小説ではない。主人公の「施設での番号」が「41番」だったのだ。

「番号で呼ぶ」なんて「刑務所」と同じだものな。

私が中学生のときに、どんな気持ちで読んだんだっけなあ…?

井上ひさしの小説は楽しく読んだ覚えがあるのだけれど…。

今回は、内容はあんまり覚えていなかったが、その雰囲気を懐かしく読んだ。

 

 

(2025、9、26読了)