先日見た、テレビ朝日のドキュメンタリー映画、
「黒川の女たち」
は、岐阜県黒川村から満州へと渡った「満州開拓団」の女性たちの経験と現在を描いたものでした。(2025読書日記076『「黒川の女たち」公式パンフレット』をご参照ください。)
その「満州」での「万歳」の様子が映っていたのですが、そこでの言葉は、
「天皇陛下、イヤサカー!イヤサカー!イヤサカー!」
でした。つまり、
「バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」
という「万歳三唱」ではなく、
「弥栄(いやさか)三唱」
だったのです。初めて見ました。それを聞いて思ったのは、
「バンザイ(万歳)」という言葉は、「朝鮮半島」の、
「マンセー」
の「漢字表記」を「日本語の音読み」したものではないか?
そこで、それを避けて、
「『和語』の『弥栄(いやさか)』を用いたのではないか?」
ということでした。
ネット検索してみると、ビンゴ!でした。
「『弥栄(いやさか)』は、戦前に行われていた皇国精神の高揚等を目的とした『日本体操(やまとばたらき)』『皇国運動(やまとばたらき)』の最終16番目の動作。二拝二拍手のあと『天皇陛下』と唱え、残りの全員が『いやさか』を三唱して二拍手一礼で終了する。『いやさか』という際に『万歳』と同じように両手を偏り広く高く上げる動作を3度行う。この体操は法学者で国体学者の筧勝彦により1920年代に考案された。筧は『万歳』は漢語なので、皇国にふさわしいのは大和言葉の『弥栄(いやさか)』であると主張し“やまとばたらき”は主に農業教育機関系の国民高等学校や農民道場に普及していった。」
と記されていたのです。
「満州開拓団」は「農民」ですから、まさにそれに当たるわけですね。
今現在で「弥栄三唱」を検索すると、なぜか、
「ボーイスカウト」
のイベントの映像がたくさん出てきました。
ただ、ボーイースカウトでの「いやさか」の掛け声の掛け方は、右手に帽子を持って手を下げた状態で「イヤー」と言って、次に「サカ」といいながら、ソフトボールのピッチャーのように腕を振り上げる。これを3回行っています。
「イヤー・サカ、イヤー・サカ、イヤー・サカ」
という感じでした。
「いやさか」
という言葉を初めて知ったのは、「結婚披露宴」の司会をした時に読んだ「祝電」です。その中に、
「新郎新婦とご両家の『弥栄(いやさか)』を祈念します」
という文面があって(当時の祝電は、カタカナ)、
「『いやさか』って何?」
と思ったのが、30数年前でした。
その後、新聞用語懇談会の放送分科会で、「いや(弥)が上にも」と「いやおう(否応)なく」の「混交表現の誤用例」として出て来た、
「いやが応でも」
について話した際にも、「弥栄(いやさか)」を思い出しました。
しかし戦前に「バンザイ」の代わりに使われ、現在も使われているとは、知りませんでした。


