先日、大阪の中之島美術館に「日本美術の鉱脈展~未来の国宝を探せ!」という展覧会を見に行きました。なかなかユニークな美術展で面白かったのですが、その中の絵画のひとつのタイトルに、
「六道」
という文字があって、そこに、
「ろくどう」
とルビが振ってあったのです。これは「仏教関係の言葉」なので「呉音」で、
「りくどう」
ではないかと思って、学芸員さんと思われる女性に質問したところ、図録を調べてくれたのですが、
「図録にも『ろくどう』とルビが振ってありますねえ・・・。」
とのこと。そうすると、監修の先生が、そうルビ(読み仮名)を付けたわけですから、
「写し間違い的なミスではない」
ということですね。
ここに至って、
「もしかしたら『六道』には『りくどう』と『ろくどう』の両方の読み方があるのではないか?」
と思い、家に帰ってから調べると、やはりそうでした。
*「六道(ろくどう・りくどう)」=仏教において衆生(しゅじょう)がその業(ごう)の結果として輪廻転生する6種の世界(あるいは境涯)のこと」
特に京都の、
「六道珍皇寺」(ろくどうちんこうじ)
は有名だそうです。
「三省堂国語辞典」は「ろくどう」しか載っていませんでした。
*「ろくどう(六道)」=【仏】一切の衆生(しゅじょう)が生きていたときのおこないによって死後に生まれ変わって住む、六種の世界。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上。六趣(ろくしゅ)。
*「ろくどうりんね(六道輪廻)」=【仏】衆生は迷っているうちは いつまでも六道をめぐって生死を繰り返す、という考え方。
そうか、「六波羅探題」「六根清浄」も「ろく」だし、「仏語」でも「ろく」でいいのか。
小駒さんの「新潮日本語漢字辞典」で「六」を引いてみたら、やはり、
「ろくどう」
という読みしか載っていませんでした。そして驚いたことに、
「ロク」=呉音
「リク」=漢音
だったのです!つまり日本語の中で「六」の読みは、
「古い呉音の『ロク』が主流」
で、
「新しい漢音の『リク』のほうが少ない」
のですね(数えたわけではないが。個人の感想です。)つまり、
「仏教伝来の時期に伝わった呉音の『ロク』が定着した」
ということのようですね。あとから入った「漢音」の「リク」に、塗り替えられなかった。「ロク」が、すでに完全に定着していたということですかね。


