10066「六道の読み方」

2025 . 8 . 28

10066

 

 

先日、大阪の中之島美術館に「日本美術の鉱脈展~未来の国宝を探せ!」という展覧会を見に行きました。なかなかユニークな美術展で面白かったのですが、その中の絵画のひとつのタイトルに、

「六道」

という文字があって、そこに、

「ろくどう」

とルビが振ってあったのです。これは「仏教関係の言葉」なので「呉音」で、

「りくどう」

ではないかと思って、学芸員さんと思われる女性に質問したところ、図録を調べてくれたのですが、

「図録にも『ろくどう』とルビが振ってありますねえ・・・。」

とのこと。そうすると、監修の先生が、そうルビ(読み仮名)を付けたわけですから、

「写し間違い的なミスではない」

ということですね。

ここに至って、

「もしかしたら『六道』には『りくどう』と『ろくどう』の両方の読み方があるのではないか?」

と思い、家に帰ってから調べると、やはりそうでした。

*「六道(ろくどう・りくどう)」=仏教において衆生(しゅじょう)がその業(ごう)の結果として輪廻転生する6種の世界(あるいは境涯)のこと」

特に京都の、

「六道珍皇寺」(ろくどうちんこうじ)

は有名だそうです。

「三省堂国語辞典」は「ろくどう」しか載っていませんでした。

*「ろくどう(六道)」=【仏】一切の衆生(しゅじょう)が生きていたときのおこないによって死後に生まれ変わって住む、六種の世界。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上。六趣(ろくしゅ)。

*「ろくどうりんね(六道輪廻)」=【仏】衆生は迷っているうちは いつまでも六道をめぐって生死を繰り返す、という考え方。

そうか、「六波羅探題」「六根清浄」も「ろく」だし、「仏語」でも「ろく」でいいのか。

小駒さんの「新潮日本語漢字辞典」で「六」を引いてみたら、やはり、

「ろくどう」

という読みしか載っていませんでした。そして驚いたことに、

「ロク」=呉音

「リク」=漢音

だったのです!つまり日本語の中で「六」の読みは、

「古い呉音の『ロク』が主流」

で、

「新しい漢音の『リク』のほうが少ない」

のですね(数えたわけではないが。個人の感想です。)つまり、

「仏教伝来の時期に伝わった呉音の『ロク』が定着した」

ということのようですね。あとから入った「漢音」の「リク」に、塗り替えられなかった。「ロク」が、すでに完全に定着していたということですかね。

 

(2025、8、28)