「2025読書日記043」で紹介した『大阪弁の深み~その独特の魅力を味わう』(PHP新書)の著者で龍谷大学教授の札埜和男先生が、今年1月に恐らく「本業」のテキストとして作成されたであろう一冊。
札埜先生とは、実は社会人になってから通った(私はほんの半年~1年で、時期も少しズレているのだが)大阪大学の真田信治先生の門下生。つまり同窓のよしみで、この本も贈ってもらいました。ありがとうございます。
紅白の塗り分けられた装丁もおしゃれだが、これは「有罪・無罪」という「裁判」を表わしているのではないか。例の弁護士のバッジについているような「秤の女神」のイラストもあるし。
中を見ると「読み物」ではなく、「横書き」で、明らかに「大学の教科書」だ。札埜先生は「言葉」の研究をしていく中で「裁判での言葉」というものに着目し、これまで教鞭を取ってきた高校や大学で「模擬裁判」を数多く行ってきた。この本は、「文学作品」に題材を取って「模擬裁判」を繰り広げ、実際の裁判でのポイントや進め方などを読み解いていくというユニークなもの。
題材となったのは森鷗外の「高瀬舟」、芥川龍之介の「羅生門」、そして夏目漱石の「こころ」という日本を代表する文豪たちの作品。いずれも「ミステリー」と言えば言えなくもない。その謎を法廷で解いていこうというもので、その中で「裁判の方式や言葉」についても解説を加えていく。
でもはっきり言って。素人にはかなり難しい内容だった。(全部は読み切れませんでした・・・。)中には「コラム」として、実際の裁判の事例の当事者にインタビューした内容なども含まれていて、参考になる。
(2025、8、14読了)


