10042「苦汁を『飲む』か?『なめる』か?」

2025 . 7 . 25

10042

 

 

7月16日の「ミヤネ屋」でディレクターから質問がありました。

「『苦汁』は『飲む』でしょうか?それとも『なめる』でしょうか?」

「精選版日本国語大辞典」を引いてみたら、

「苦汁をなめる」

と載っていたので、

「なめる」

で放送しました。しかし、

「これは絶対に辞書に載っている言葉・表現なのだから、俺に辞書を引かせないで、自分で引けばいいのに…」

とちょっと思ったのでした。

そして「ミヤネ屋」放送後に、他の辞書を引いてみました。

まず、「明鏡国語辞典」。すると、

「苦汁を嘗(な)める」

の見出しの語釈に、

「苦汁を飲む」「苦汁を喫する」「苦杯をなめる」

とあるではないですか!他にも、

・「広辞苑」=「苦汁を嘗める」

・「大辞林」=「苦汁を嘗める」

・「新選国語辞典」=「苦汁を嘗める」

・「新明解国語辞典」=「苦汁を嘗める(飲まされる)」

・「三省堂国語辞典」=「苦汁をなめる/飲む」

・「岩波国語辞典」 =「苦汁をなめる」

・「三省堂現代新国語辞典」=「苦汁をなめる」

・「現代国語例解国語辞典」=「苦汁を嘗める」

でした。やはりほとんどの辞書は「苦汁を嘗める」だけですが、

「新明解国語辞典」が「苦汁を飲まされる」、「三省堂国語辞典」は「苦汁を飲む」、「明鏡国語辞典」も「苦汁を飲む」「苦汁を喫する」と載せていました。「新しい傾向」と言えるのかもしれませんが、

「答えは1つではない」

ということですね。それはつまり、

「完全に定着した成句・言い方ではない」

ということでもあります。

話は飛びますが、「青汁」は「飲む」ですが、中には「なめる」だけの人もいます。「苦い」のは嫌ですものね。あ、そんなことを言っているのは、

「まだ、子ども」

なのかな?六十、過ぎてますが…。

 

(2025、7、25)