7月2日の「ミヤネ屋」で、短い梅雨と異常な高温などの影響で農作物に被害が出ている様子をお伝えしました。その中で、
「トマトが勝手に“落下”してしまう」
というテロップがあり、そのまま通したところ、元読売新聞の校閲記者の方から、
「『落下』ではなく『落果』ではないか」
という指摘が入り、
「あっ!そうか!」
と、
「トマトが勝手に“落果”してしまう」
に直しました。まるで、
「リンゴが木から落ちるのを見て『万有引力』に気付いたニュートン」
のような心持ちがしました。(この場合は「落下」?「落果」?どっち?「リンゴ」は「落果」ですが、「万有引力」がメインなら「落下」ですかね?)
いやあ「同音異義語」は難しい。同じ「ラッカ」では、
「落花」
もありますしね。「落果狼藉」とか。
あ、ちょっと待てよ。「落果」は「果実が落ちること」だけど、
「トマトは『野菜』」
だよな。「果実」と言っていいのかな?(「トマトは果実か?」問題発生!)
そもそも「果実」には、クルミなどの「乾果(けんか)」と、リンゴや桃のような「液果」があって、「乾果」が落ちても問題ないけど、「液果」は落ちると、
「商品価値がなくなる」
その意味では「トマト」は「野菜」であっても、
「リンゴや桃のような『液果』と同じく、落ちたら商品価値がなくなる」
という点が共通しているので、
「広い意味での“落果”」
と捉えてもいいのではないか?という気もしてきます。
また「三省堂国語辞典・第八版」で「落果」を引くと、
「果実が(台風のために)落ちること」
とありました。今回は「台風」ではないな。「落果」は「台風」によって落ちたものでないといけないのかな?
「自然災害で」
だと、いけないのかな?・・・謎は深まるばかりです。
腑に落ちる?腑に落ちない?
…と、ここまで書いて過去の原稿を検索したら、
令和ことば事情9803「落下と落果」(2023年)
平成ことば事情5742「落果」(2015年)
と、過去「2回」書いていました…。しかも「2023年」の分は、今回と同じく(「台風」が原因ではなく)「水不足」によるもので、落ちたのは「リンゴ」でした。
「2015年」は「梅の実」で、「季節外れの台風を警戒して」でした。


