松本清張原作、野村芳太郎監督の映画「砂の器」(1974年)の「4Kリマスター版」を映画館で見ました。
その中で警視庁の捜査本部の会議で捜査一課長と思われる人が、容疑者の作曲家でピアニストの(加藤剛が演じる)和賀英良について、
「順風満帆」
という言葉を、
「順風マンポ」
と言っていました。正しくはもちろん、
「順風マンパン」
なのですが、「1974年当時」は、
「マンポ」
と読まれていたのでしょうかね?そんなところが気になりました。
そもそもこの言葉は「読み間違いが多い」ということは、「2013年」のNHK放送文化研究所のサイトの言葉のコラム「誤読が多い四字熟語」にも書かれていましたし、
誤読の多い四字熟語 「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」「上意下達(じょういかたつ)」などの読み | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所
映画「砂の器」での「マンポ」に気付いて書いている人も、何人かはいらっしゃいました。
(2025、7、14)



(追記)
このブログの愛読者でいつも感想を送ってくれる東京の「門外変人」さんから、情報が寄せられました。「順風満帆」の「マンパン」という読みが定着したのは、比較的最近であると、辞書編纂者の飯間浩明さんが「文藝春秋」の「2018年10月号」に書かれた文章を送ってくれました。飯間さんによると、
「映画が作られた1970年代には、『順風満帆』はまだ定まった言葉ではなく、『満帆』は『マンパン』『マンポ』両様に読まれていた」
というのです。その証拠に、1980年にNHKが「有識者」を対象に行った調査では、「マンパン」と読む人が「約5割」、「マンポ」と読む人が「約3割」だったそうです。
やはり、当時は「両方」あったのですね。
「文藝春秋」のこのコラムは、毎月読んでいるはずなのですが、コロッと忘れていました。これはもしかしたら、TBSの日曜劇場で「砂の器」を作った頃かな?(調べると)あ、違った、ドラマは「2004年」だった。そんな前だったのか!
「門外変人」さん、ありがとうございました。
(2025、7、17)