制作はテレビ朝日だった。
岐阜県黒川村から、満州へと渡った人たち。実はソ連国境に配備された「人間の盾」であった。「開拓団」とは名ばかりで、そこに住んでいた「満人」たちの家や畑を安く買いたたいて奪った。あのアメリカへ渡った欧州人たちが、先住民(インディアン)から安く土地をだまし取ったのと同じ形じゃないか。
ソ連が攻めて来たとき、関東軍は彼らを守ることなく先に逃げていた。なんだそれ!
そして彼らの長(おさ)はソ連軍から身を守るために、未婚の若い女性(娘たち)をいわば「人身御供」として差し出した。
「日本」(軍)からも見捨てられ、「家族・仲間」からも売られ、そうして帰国すれば、
「ロスケに体を…」(「ロスケ」という言葉を久々に「生」で聞きました。)
と差別される。
「私が一体、何をしたというのか」。
悔しい思いをずっと秘めてきたが、90歳を超えて、
「二度とこのようなことを起こさないために今、この歴史を伝えておかないと」
という思いから「語り部」となっていった「黒川の女たち」。
彼女たちを追ったドキュメンタリー、「戦後80年」の今こそ、見るべき一本でしょう。
(2025、7、27読了)


