10027「急死に一生」

2025 . 7 . 22

10027

 

 

7月12日の「読売新聞」に「訂正記事」が出ました。

それは「ラテ欄」、つまり「テレビ番組欄」に出た「番組の内容紹介」の部分についてでした。訂正記事を引き写してみると、

【訂正・おわび】

『11日【番組】テレビ東京系列の番組「世界のカメラが捉えた衝撃的瞬間TOP40」で、一部地域で「急死に一生」とあるのは「九死に一生」の誤りでした。テレビ局の発表に誤りがありました。』

というもの。つまり、

×「急死に一生」→○「九死に一生」

ということですね。「急死」してしまったら、もう「生きる」ことはできませんからね。同音異義語の変換ミスです。この訂正記事の最後に、

「テレビ局の発表に誤りがありました。」

とあります。でも実はこれ、「テレビ欄の放送内容」を書くのは、

「テレビ局の番組担当者」

なのですが、担当者がそれを送る先は、「新聞社」ではなく、

「番組欄担当の別の会社」

なんです。テレビ局番組担当者の発注ミスを、その「テレビ欄担当会社」がチェックできなかったから、紙面に出てしまったと思います。たぶん、各新聞社の校閲部は、テレビ欄はチェックしていないのではないでしょうか?

「7月11日」の他紙、「朝日・毎日・産経・日経」のテレビ欄も見ましたが、全社、

「急死に一生」

で出ていました。つまり、

「全社、間違ったまま出した」

のです。ところが、私が見た限り、翌日・翌々日の紙面で「訂正・おわび」を出したのは、

「読売新聞だけ」

でした。これはやはり、

「テレビ欄のチェックは、読売を除き、各社の校閲の担当ではない」

ということなのかな?と思ったのでした。

まあ、間違って出したのが、そもそもの原因だったわけですけどね。

「他山の石」にします。

ちなみに漫画雑誌「ビッグコミック・オリジナル」(2025年7月20号)に連載されている能條純一画・半藤一利原作(「昭和史」)、志波秀宇監修の「昭和天皇物語」(第141話)の中で、「神風特攻隊」隊員の心の中の声として、

「250キロの爆弾を抱えての体当たりだ。十死に零生だ。間違いなくオレは死ぬだろう。」

というセリフが出て来ました。この中の、

「十死(じゅっし)に零生(れいせい)」

という言葉は、「特別攻撃」=「特攻」を指す言葉です。「九死に一生」を超えています。

2023年8月18日「読売新聞オンライン」に、

「十死零生の絶望兵器 人間嫌い『伏竜』 その体験者が また一人逝く」

という記事が載っていました。

 

(2025、7、22)

(追記)

駆逐艦「雪風(ゆきかぜ)」を取り上げた映画「雪風~YUKIKAZE」の中の、戦艦大和を含む連合艦隊が沖縄へ向かう作戦で、

「片道の燃料しか入れない」

という方針が出たことを司令部が告げた際に、各艦の艦長から、

「ここに死を恐れている者は誰一人いないが、それは犬死にだ」

という声などが出た中に、

「十死(じゅっし)に零生(れいしょう)」

という言葉もありました。ここでは「零生」は、

「れいしょう」

と言っていたように思います。「九死に一生(いっしょう)」と同じでした。

(2025、8、29)