7月12日の「読売新聞」に「訂正記事」が出ました。
それは「ラテ欄」、つまり「テレビ番組欄」に出た「番組の内容紹介」の部分についてでした。訂正記事を引き写してみると、
【訂正・おわび】
『11日【番組】テレビ東京系列の番組「世界のカメラが捉えた衝撃的瞬間TOP40」で、一部地域で「急死に一生」とあるのは「九死に一生」の誤りでした。テレビ局の発表に誤りがありました。』
というもの。つまり、
×「急死に一生」→○「九死に一生」
ということですね。「急死」してしまったら、もう「生きる」ことはできませんからね。同音異義語の変換ミスです。この訂正記事の最後に、
「テレビ局の発表に誤りがありました。」
とあります。でも実はこれ、「テレビ欄の放送内容」を書くのは、
「テレビ局の番組担当者」
なのですが、担当者がそれを送る先は、「新聞社」ではなく、
「番組欄担当の別の会社」
なんです。テレビ局番組担当者の発注ミスを、その「テレビ欄担当会社」がチェックできなかったから、紙面に出てしまったと思います。たぶん、各新聞社の校閲部は、テレビ欄はチェックしていないのではないでしょうか?
「7月11日」の他紙、「朝日・毎日・産経・日経」のテレビ欄も見ましたが、全社、
「急死に一生」
で出ていました。つまり、
「全社、間違ったまま出した」
のです。ところが、私が見た限り、翌日・翌々日の紙面で「訂正・おわび」を出したのは、
「読売新聞だけ」
でした。これはやはり、
「テレビ欄のチェックは、読売を除き、各社の校閲の担当ではない」
ということなのかな?と思ったのでした。
まあ、間違って出したのが、そもそもの原因だったわけですけどね。
「他山の石」にします。
ちなみに漫画雑誌「ビッグコミック・オリジナル」(2025年7月20号)に連載されている能條純一画・半藤一利原作(「昭和史」)、志波秀宇監修の「昭和天皇物語」(第141話)の中で、「神風特攻隊」隊員の心の中の声として、
「250キロの爆弾を抱えての体当たりだ。十死に零生だ。間違いなくオレは死ぬだろう。」
というセリフが出て来ました。この中の、
「十死(じゅっし)に零生(れいせい)」
という言葉は、「特別攻撃」=「特攻」を指す言葉です。「九死に一生」を超えています。
2023年8月18日「読売新聞オンライン」に、
「十死零生の絶望兵器 人間嫌い『伏竜』 その体験者が また一人逝く」
という記事が載っていました。



(追記)
駆逐艦「雪風(ゆきかぜ)」を取り上げた映画「雪風~YUKIKAZE」の中の、戦艦大和を含む連合艦隊が沖縄へ向かう作戦で、
「片道の燃料しか入れない」
という方針が出たことを司令部が告げた際に、各艦の艦長から、
「ここに死を恐れている者は誰一人いないが、それは犬死にだ」
という声などが出た中に、
「十死(じゅっし)に零生(れいしょう)」
という言葉もありました。ここでは「零生」は、
「れいしょう」
と言っていたように思います。「九死に一生(いっしょう)」と同じでした。
(2025、8、29)