ご存じかと思いますが、愛媛・松山市に、
「一六タルト」
という銘菓があります。ロールケーキの中にクリクル巻いたあんが入っているお菓子ですね。この、
「一六(イチロク)」
というネーミングは、どこから来たのか?というのが、以前から何となく気になっていました。
そんな時に、澁川祐子著『味なニッポン戦後史』(集英社インターナショナル新書)という本を読んでいたら、こんな記述にぶつかりました。(100ページ)
「明治時代までは『嘉祥(かしょう・嘉定)』という風習が行われていたが、これも菓子を通じたコミュニケーションの一形態と捉えることができる。起源は平安時代、仁明(にんみょう)天皇が御神託に基づき、六月一六日に『一六』の数字にちなむ菓子や餅などを神前に供えて疫病退散と健康招福を祈願し、『嘉祥』と改元したことに由来する。その後は武家に社会に受け継がれ、江戸時代には幕府が大名や旗本を江戸城に集め、大々的に菓子を配ったほどだった。ちなみに、現在では全国和菓子協会によって六月一六日は「和菓子の日」に制定されている。」
というものでした。これを見て、
「だから『一六タルト』なのか!」
と私は思ったのです。しかし、「一六タルト」のHP(一六本舗)を見てみたら、
「創業年(明治16年=1883年)の『16』が『一六本舗』の由来」
とありました。なーんだ、そうなのか。でもきっと「嘉祥」の「一六」の由来は分かっていて、ちょうどタイミングが「明治16年」というのもあって、その問いに創業したのかもしれませんね。
また、
「タルトは、正保4年(1647)」久松家 初代松山藩主・松平貞行公が長崎の海上警備にあたったとき、南蛮菓子タルトに接しその味を賞でて、製法を松山に持ち帰ったといわれています」
と記されていました。
それが100年以上も続いて、やっぱり甘くておいしいんですよね。さすがです!


