9894「おみあげ」

2025 . 5 . 14

9894

先日、大阪駅のすぐ横の、昔「大阪中央郵便局」があった場所に去年7月にできた、「KITTEビル」に行った際に、特に目的もなくエスカレーターで2階に上がったら、いきなり目の前に出て来た文字は、

「おみあげ」

でした。

「おみやげ」

ではなく。そのフロアは、各都道府県のアンテナショップみたいなのが並んでいます。なるほど「郵便」と「全国都道府県」とは、つながりが深いですものね。

この「おみあげ」は、「兵庫県」のブースというかショップでした。

「おみやげ(お土産)」を「おみあげ」と言うのは、

「兵庫県の方言」

なのでしょうか?大阪でも聞いたことがあるような。

「や」→「あ」

ということは、

「子音の『Y』が脱落している」

ということですね。

「大阪ことば事典」(牧村史陽)で「おみあげ」を引きましたが載っていません。大阪弁では、

「おみや」

という「げ」を省略した形は載っていました。それも聞きますし使いますね。そうするとやはり「おみあげ」は「兵庫県の方言」なのかなあ?

ネット検索してみたところ、「ハテナブログ」に、

「元々は『見上げ(みあげ)』で、それがなまって『みやげ』になった」

という語源説を紹介していました。それ以外にも諸説もあるようですが。

また、関西では今も「みあげ」と言う傾向があり、特に「京都・大阪」では「おみあげ」が有力であると。兵庫県に限ったことではないのか。

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「精選版日本国語大辞典」で「みあげ」を引くと「空(から)見出し」で、

「→みやげ」

となっていましたが、一応載っていました。そして「空見出し」なのに「用例」が載っていて、それは、

「言継卿記―天文三年(1534)正月二日」

のもので、

「従持明院指貫事被申候間遣、針一、耳搔一、南都見上とて到」

として「指貫」「針」「耳かき」が、

「南都見上(みあげ)」

として届いたと載っていました。やはり、

「みやげ」は「見上(みあげ)」

だったのか!

しかし「みやげ」の項目を見ると、用例は、

「山科家礼記―応仁二年(1468)九月一六日」

と「みあげ」の用例よりも「60年以上」古く、

「二松方国々にみやけとて、越後布一段長門守とのへ被進候也」

とあり、これは語源が、

「みやけ(屯倉)」

なのか、濁点が書かれていないだけで、発音は、

「みやげ」

だったのか、わかりません。

古くは「どちらの言い方もある」ということのようです。

(2025、5、14)