「願わくば、両校優勝になってほしい」
のような場合の、
「願わくば」
は、実は「間違い」で、正しくは(本来は)、
「願わくは」
だということは、皆さんご存じでしょうか?
毎日新聞のサイト「毎日ことば」(2019年12月27日)によると、
「願わく( )核廃絶が実現してほしい」
という場合に、
「願わくば」 =45、6%
「願わくは」 =38、6%
「どちらも言う」=15、8%
という結果が出たそうです。しかも「願わくば」の使用例は、
「江戸時代からある」
ということで、もうすでに、
「誤用を超えた存在」
であるとしています。それはさておき、今回私は、
「なぜ『願わくは』を『願わくば』としてしまうのか」
について考えて、一つの答えが出ました。それは、
「『願わくば』は、『あわよくば』と『願わくは』の混交表現ではないか?」
というものです。「願わくは」と「あわよくば」は、
「意味が似ている」
んですよ。それで、言い方が交じっちゃうんです。つまり、
「願わくは、あわよくば、核廃絶が実現してほしい」
と思って、
「願わくは」+「あわよくば」→「願わくば」
になったのではないか?と思ったのです。
同様に、
「貯金を取り崩す」
が本来の言い方なのに、
「貯金を切り崩す」
と間違って言っちゃうこともありますよね。
これはNHK放送文化研究所のサイトを見ると、2024年3月1日に、塩田雄大さんが書いています。これは「明鏡国語辞典・第三版」では、
「『切り崩す』の新しい意味」
として認めていると載っていました。そしてこの表現を国語辞典が取り上げ出したのは、
「昭和40年以降である」
と。ただし国立国会図書館のデータ検索をしてみたら、
「1920年代(1923年)の用例」
が見つかったそうです。
NHKの「2022年」の「貯金を取り崩す」「貯金を切り崩す」の年代別アンケート調査(1198人)では、
(%)【取り崩す】【切り崩す】【両方OK】
(20代) 14 64 18
(30代) 14 68 13
(40代) 17 66 15
(50代) 18 60 18
(60代) 28 48 28
(70代) 31 39 22
(80代) 41 25 18
【全体】 23 53 18
という結果だったそうです。つまり、
「『貯金を切り崩す』と言う人のほうが多い」
ということですね。そこで、ここに書かれていない、
「なぜ『混交表現』が起きたか?」
ですが、私は、
「『貯金を切り崩す』は、『生活を切り詰める』と『貯金を取り崩す』の混交表現ではいか?」
と思ったのです。これも、「生活を切り詰める」と「貯金を取り崩す」は、
「状況が同じ」
だから。つまりは、
「意味が似ている」
のですね。それと、「取る」よりも「切る」ほうが「切実さ」があり、
「追い詰められている」「窮乏感」
があるからではないでしょうか?だから「混交表現」が起きたと。
急にそんなことが思い浮かんだのでした。


