「2022年5月9日」の「令和ことば事情8464大宗」以来の、
「大宗」
が出て来ました!「令和の米問題」で、
「コメは買ったことがない」
発言で辞任に追い込まれた(事実上の“更迭”)江藤拓農水相の発言内容で、
「我々が放出した数量は、マーケット全体から見れば『大宗』を占めるものにはなり得ません。そして出してしまえば、流通はもう全て、民間任せになってしまいます。」
というものでした。
2022年当時は、「ロシア原油輸入禁止」についての岸田首相(当時)のコメントフォローテロップで、
「エネルギー資源の大宗(大半)が」
というテロップが出て来て、
「『大宗』って何?」
となったのでした。日本テレビがお昼のニュースで、そのようにテロップを出していたと。それで「精選版日本国語大辞典」を引いたら「大半」という意味は載っていなくて、
「物事のおおもと。根本。中心となるもの。また、ある分野での権威ある大家をいう」
とだけ書いてあったのでした。「たいそう」と読む他の言葉(同音異義語)をみると、
「大層」「大相」
があり、
「程度・数量などが、はなはだしいさまを表す。非常に。大変。ひどく」
とあったので、元読売新聞の校閲スタッフNさんとも話して「大層」を使い、
「エネルギー資源の大層が」
としたのでした。すると、放送終了後に東京の「ミヤネ屋」デスクから、
「『大宗』ではないか?」
という指摘を受け、「ミヤネ屋」の当時のT部長が調べてくれたところによると、
「2012年9月」の「毎日新聞」のツイッター「毎日ことば」で、この、
「『大半』の意味での『大宗(たいそう)』」
について書かれていたのです。
https://mainichi-kotoba.jp/blog-20120929
結論から言うと、
「辞書には載っていないし、出てくることは少ないが、官庁用語として『通商白書』などで使われたことがある」
とのことでした。
ただ、国立国語研究所の過去のデータを集めた「コーパス」でも1914年~1966年まで「13件」しか出て来ないそうです。
その日のNHKニュースを見ていたら、その部分のコメントは使っていませんでした。
その後さらに調べると、「外務省のサイト」で「大宗」を使っていました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/shin6_000022.html
また、国語辞典でも新しい2021年1月に出た『明鏡国語辞典・第三版』には、その意味で載っていました。そのほか、2021年12月に出た『三省堂国語辞典・第八版』、2019年9月に出た『大辞林・第四版』にも載っていました。
ということで、もし次に出て来たら、意味を補って、
「大宗(大半)」
で出すことにします・・・と書いていました。
それがついに3年経って、出てきたのです!(でも、そのぐらいの頻度でしか出ないんですね。「1000日に1回」です。)
2025年5月21日の「ミヤネ屋」では、(大半)を付けて、
「大宗(大半)を占める」
として放送しました!


