5月20日の「ミヤネ屋」のパネルで取り上げた問題で、大阪・関西万博会場の、
「くら寿司」や「イタリア館」
で、
「無料で配っている予約のQRコード」
を他の人に売ることを、
「転売」
と言ってよいのか?ということがありました。「転売」は、
「買ったものを他に売ること」
なのではないか?という意見が出たのです。日本テレビの用語ガイドラインによると、そういった場合は「転売」ではなく、
「売りさばく」
とすることになっているようです。そこで、もうオンエアーが始まっていたのですが、間に合うものは“ ”を付けて、
「“転売”」
に直しました。
(×予約枠をサイトで転売→○予約枠をサイトで“転売”)
この問題、調べてみたら、過去の用語懇談会でも数回、話し合われていました。
「盗品を売った場合に『転売』と言っていいのか?」
という問題です。このアンケートに付いて、「許容」する社と「直す」社が「半々」でした。意見が割れていたのです。
国語辞典で「転売」を引きましたが、ほぼ全て、
「買ったものを」
となっている中で、唯一「三省堂国語辞典」だけが、
「買ったりしたものを」
と少し「含み」を持たせた表現になっていて、昨今の状況に配慮しているようでした。
ディレクターと話し合った中で、
「以前は『転売するのは業者だけ』だったのが『メルカリなどのフリマの普及』で、誰もが簡単に、持っている物を売れる状況になったことで、『一般の人が物を売るケースが増えた』ことが、『転売』という言葉の意味を広げたのではないか?」
という結論に達しました。
しかし、「従来の意味の狭義の『転売』」しか認めない人にとっては、
「タダで手に入れた物や、盗んだ物を売ることを『転売』というのはおかしい」
と考えるでしょうから、注意が必要ですね。
もっとも、
「タダでもらう=0円で買った(購入した)」
と言えなくもありません。「盗品」は「買った」のでも「もらった」のでもないから「転売」を使うのはダメだと思いますけど。屁理屈ですかね?
「平成ことば事情5532転売」
「令和ことば事情9753転売ヤー」
も、お読みください。


