9907「転売2」

2025 . 5 . 21

9907

 

 

5月20日の「ミヤネ屋」のパネルで取り上げた問題で、大阪・関西万博会場の、

「くら寿司」や「イタリア館」

で、

「無料で配っている予約のQRコード」

を他の人に売ることを、

「転売」

と言ってよいのか?ということがありました。「転売」は、

「買ったものを他に売ること」

なのではないか?という意見が出たのです。日本テレビの用語ガイドラインによると、そういった場合は「転売」ではなく、

「売りさばく」

とすることになっているようです。そこで、もうオンエアーが始まっていたのですが、間に合うものは“ ”を付けて、

「“転売”」

に直しました。

(×予約枠をサイトで転売→○予約枠をサイトで“転売”)

この問題、調べてみたら、過去の用語懇談会でも数回、話し合われていました。

「盗品を売った場合に『転売』と言っていいのか?」

という問題です。このアンケートに付いて、「許容」する社と「直す」社が「半々」でした。意見が割れていたのです。

国語辞典で「転売」を引きましたが、ほぼ全て、

「買ったものを」

となっている中で、唯一「三省堂国語辞典」だけが、

「買ったりしたものを」

と少し「含み」を持たせた表現になっていて、昨今の状況に配慮しているようでした。

ディレクターと話し合った中で、

「以前は『転売するのは業者だけ』だったのが『メルカリなどのフリマの普及』で、誰もが簡単に、持っている物を売れる状況になったことで、『一般の人が物を売るケースが増えた』ことが、『転売』という言葉の意味を広げたのではないか?」

という結論に達しました。

しかし、「従来の意味の狭義の『転売』」しか認めない人にとっては、

「タダで手に入れた物や、盗んだ物を売ることを『転売』というのはおかしい」

と考えるでしょうから、注意が必要ですね。

もっとも、

「タダでもらう=0円で買った(購入した)」

と言えなくもありません。「盗品」は「買った」のでも「もらった」のでもないから「転売」を使うのはダメだと思いますけど。屁理屈ですかね?

「平成ことば事情5532転売」

「令和ことば事情9753転売ヤー」

も、お読みください。

 

(2025、5、21)