読売新聞社が3年に1回出している、
「読売スタイルブック」
という本があります。最新版は「2024年版」。
これは「用字用語」の他に、オリンピックやワールドカップの記録や、歴代首相、歴代アメリカ大統領の名前などの記録がコンパクトにまとまっていて、とても重宝する一冊なのです。その中には、
「元号一覧」
があります。これまでの、
「248代」
の天皇の「年号」が、
「西暦で何年に当たるか」
の一覧表(五十音順)です。
しかし、普段から思っていたのは、
「年号名の『五十音順』」
ではなく、
「『西暦順』に、初代の年号から最新の『令和』までを並べてほしい」
ということでした。まあしかし、
「248代」
ぐらいだから、時間のある時に自分で並べて作ればいいじゃないか?と思い、3日ほど・7時間半ほどかけて、これを作り上げることができました!ああ、面倒臭かった。
でもその面倒くさい作業の中で、
「どういう漢字が使われる傾向にあるか」
それも時代によって人気が変わる様子や、
「日本史の中で出て来る事件の名前」が「年号」によるものであることを改めて知ることが出来ました。
例えば「大化の改新」から始まり「和同開珎」「延喜式」「保元の乱」「平治の乱」「弘安の役」「承久の乱」「応仁の乱」「慶長の役」「天正使節団」「慶安のお触書」「宝暦の大火」「享保の改革」「寛政の改革」「安政の大獄」「安政の大地震」といった事件・天変地異などには「年号」が使われているのです。知ってはいたけれど、改めて。
そして「慶應義塾」が「慶應年間」に、「明治大学」が「明治時代」にできたことを表しているように、
「延暦寺」「建仁寺」「永観堂」「寛永寺」
といった「お寺の名前」にも「年号」が使われている(その「元号」のときにできたのでしょう)であろうことは、大変興味深いことでした。
また、やはり「南北朝時代」というのは、ややこしいのだなということも分かりました。
漢字の使い方で、ひとつ「おや?」っと思ったのは、元号でよく使われている、
「暦」
という漢字の読みが、江戸時代になるまでは、
「延暦」「天暦」「正暦」「長暦」「治暦」「永暦」「承暦」「元暦」「建暦」「文暦」「暦仁」「嘉暦」(1326~1329)
まで「12」ありますが全て、
「りゃく」
と読んでいたのです。ところが、江戸時代に入ってからは「暦」の使用も2回しかなく、
「明暦」(1655~1658)「宝暦」(1751~1764)
はともに、
「れき」
と読むのです。なぜ「りゃく」→「れき」と変わったのでしょうか?
あと、結構「短いサイクルで元号が変わっているな」と改めて感じました。
「明治」以降の元号は、すごく長いです。
さあ、それではその「力作」をお目にかけましょう!
西暦順元号一覧
645~ 650 大化 901~ 923 延喜
650~ 654 白雉(はくち) 923~ 931 延長
686 朱鳥(しゅちょう) 931~ 938 丞平(じょうへい)
***************** 938~ 947 天慶(てんぎょう)
701~ 704 大宝 947~ 957 天暦(てんりゃく)
704~ 708 慶雲(きょううん) 957~ 961 天徳
708~ 715 和銅 961~ 964 応和
715~ 717 霊亀 964~ 968 康保(こうほう)
717~ 724 養老 968~ 970 安和(あんな)
724~ 729 神亀 970~ 973 天禄
729~ 749 天平 973~ 976 天延
749 天平感宝 976~ 978 貞元
749~ 757 天平勝宝 978~ 983 天元
757~ 765 天平宝字 983~ 985 永観
765~ 767 天平神護 985~ 987 寛和(かんな)
767~ 770 神護景雲 987~ 989 永延
770~ 781 宝亀 989~ 990 永祚(えいそ)
781~ 782 天応 990~ 995 正暦(しょうりゃく)
782~ 806 延暦(えんりゃく) 995~ 999 長徳
806~ 810 大同 999~ 1004 長保(ちょうほう)
810~ 824 弘仁(こうにん) 1004~ 1012 寛弘
824~ 834 天長 1012~ 1017 長和
834~ 848 承和(じょうわ) 1017~ 1021 寛仁(かんにん)
848~ 851 嘉祥(かしょう) 1021~ 1024 治安(じあん)
851~ 854 仁寿(にんじゅ) 1024~ 1028 万寿(まんじゅ)
854~ 857 斉衡(さいこう) 1028~ 1037 長元
857~ 859 天安 1037~ 1040 長暦(ちょうりゃく)
859~ 877 貞観(じょうがん) 1040~ 1044 長久
877~ 885 元慶(がんぎょう) 1044~ 1046 寛徳
885~ 889 仁和(にんな) 1046~ 1053 永承
889~ 898 寛平(かんぴょう) 1053~ 1058 天喜(てんぎ)
898~ 901 昌泰(しょうたい) 1058~ 1065 康平(こうへい)
1065~ 1069 治暦(じりゃく) 1165~ 1166 永万
1069~ 1074 延久 1166~ 1169 仁安(にんあん)
1074~ 1077 承保(じょうほう) 1169~ 1171 嘉応
1077~ 1081 承暦(じょうりゃく) 1171~ 1175 承安(じょうあん)
1081~ 1084 永保(えいほう) 1175~ 1177 安元
1084~ 1087 応徳 1177~ 1181 治承(じしょう)
1087~ 1094 寛治(かんじ) 1181~ 1182 養和
1094~ 1096 嘉保(かほう) 1182~ 1184 寿永
1096~ 1097 永長 1184~ 1185 元暦(げんりゃく)
1097~ 1099 承徳(じょうとく) 1185~ 1190 文治(ぶんじ)
1099~ 1104 康和 1190~ 1199 建久
1104~ 1106 長治 1199~ 1201 正治(しょうじ)
1106~ 1108 嘉承 1201~ 1204 建仁
1108~ 1110 天和(てんな) 1204~ 1206 元久(げんきゅう)
1110~ 1113 天永 1206~ 1207 建永
1113~ 1118 永久 1207~ 1211 承元(じょうげん)
1118~ 1120 元永 1211~ 1213 建暦(けんりゃく)
1120~ 1124 保安(ほうあん) 1213~ 1219 建保(けんぽう)
1124~ 1126 天治(てんじ) 1219~ 1222 承久
1126~ 1131 大治(だいじ) 1222~ 1224 貞応(じょうおう)
1131~ 1132 天承 1224~ 1225 元仁(げんにん)
1132~ 1135 長承 1225~ 1227 嘉禄
1135~ 1141 保延(ほうえん) 1227~ 1229 安貞(あんてい)
1141~ 1142 永治(えいじ) 1229~ 1232 寛喜(かんぎ)
1142~ 1144 康治(こうじ) 1232~ 1233 貞永(じょうえい)
1144~ 1145 天養 1233~ 1234 天福(てんぷく)
1145~ 1151 久安 1234~ 1235 文暦(ぶんりゃく)
1151~ 1154 仁平(にんぺい) 1235~ 1238 嘉禎(かてい)
1154~ 1156 九寿 1238~ 1239 暦仁(りゃくにん)
1156~ 1159 保元(ほうげん) 1239~ 1240 延応
1159~ 1160 平治(へいじ) 1240~ 1243 仁治(にんじ)
1160~ 1161 永暦(えいりゃく) 1243~ 1247 寛元
1161~ 1163 応保(おうほう) 1247~ 1249 宝治(ほうじ)
1163~ 1165 長寛 1249~ 1256 建長
1256~ 1257 康元
1257~ 1259 正嘉(しょうか)
1259~ 1260 正元(しょうげん)
1260~ 1261 文応(ぶんおう)
1261~ 1264 弘長
1264~ 1275 文永
1275~ 1278 健治
1278~ 1288 弘安
1288~ 1293 正応(しょうおう)
1293~ 1299 永仁(えいにん)
1299~ 1302 正安(しょうあん)
1302~ 1303 乾元(けんげん)
1303~ 1306 嘉元(かげん)
1306~ 1308 徳治
1308~ 1311 延慶(えんぎょう)
1311~ 1312 応長
1312~ 1317 正和(しょうわ)
1317~ 1319 文保(ぶんぽう)
1319~ 1321 元応(げんおう)
1321~ 1324 元亨(げんこう)
1324~ 1326 正中(しょうちゅう)
1326~ 1329 嘉暦(かりゃく)
1329~ 1331 元徳
【南朝】 ★【北朝】
1331~ 1334 元弘 ★1332~ 1334 正慶(しょうけい)
1334~ 1336 建武 ★1334~ 1338 建武
1336~ 1340 延元 ★1338~ 1342 暦応(りゃくおう)
1340~ 1346 興国 ★1342~ 1345 康永
1346~ 1370 正平 ★1345~ 1350 貞和(じょうわ)
1370~ 1372 建徳 ★1350~ 1352 観応(かんのう)
1372~ 1375 文中 ★1352~ 1356 文和(ぶんな)
1375~ 1381 天授 ★1356~ 1361 延文
1381~ 1384 弘和 ★1361~ 1362 康安
1384~ 1392 元中 ★1362~ 1368 貞治(じょうじ)
★1368~ 1375 応安
★1375~ 1379 永和
★1379~ 1381 康暦(こうりゃく)
★1381~ 1384 永徳
★1384~ 1387 至徳
★1387~ 1389 嘉慶(かけい)
★1389~ 1390 康応
★1390~ 1394 明徳
1394~ 1428 応永
1428~ 1429 正長(しょうちょう)
1429~ 1441 永享(えいきょう)
1441~ 1444 嘉吉(かきつ)
1444~ 1449 文安
1449~ 1452 宝徳
1452~ 1455 享徳(きょうとく)
1455~ 1457 康正(こうしょう)
1457~ 1460 長禄(ちょうろく)
1460~ 1466 寛正(かんしょう)
1466~ 1467 文正(ぶんしょう)
1467~ 1469 応仁
1469~ 1487 文明
1487~ 1489 長享(ちょうきょう)
1489~ 1492 延徳
1492~ 1501 明応
1501~ 1504 文亀
1501~ 1504 文亀
1504~ 1521 永正(えいしょう)
1521~ 1528 大永
1528~ 1532 享禄(きょうろく)
1532~ 1555 天文(てんぶん)
1555~ 1558 弘治(こうじ)
1558~ 1570 永禄
1570~ 1573 元亀
1573~ 1592 天正
1592~ 1596 文禄
1596~ 1615 慶長
1615~ 1624 元和(げんな)
1624~ 1644 寛永
1644~ 1648 正保(しょうほう)
1648~ 1652 慶安
1652~ 1655 承応(じょうおう)
1655~ 1658 明暦(めいれき)
1658~ 1661 万治
1661~ 1673 寛文
1673~ 1681 延宝(えんぽう)
1681~ 1684 天和(てんな)
1684~ 1688 貞享(じょうきょう)
1688~ 1704 元禄
1704~ 1711 宝永
1711~ 1716 正徳(しょうとく)
1716~ 1736 享保(きょうほう)
1736~ 1741 元文
1741~ 1744 寛保(かんぽう)
1744~ 1748 延享(えんきょう)
1748~ 1751 寛延
1751~ 1764 宝暦(ほうれき)
1764~ 1772 明和
1772~ 1781 安永
1781~ 1789 天明
1789~ 1801 寛政
1801~ 1804 享和(きょうわ)
1804~ 1818 文化
1818~ 1830 文政
1830~ 1844 天保
1844~ 1848 弘化
1848~ 1854 寛永
1854~ 1860 安政
1860~ 1861 万延
1861~ 1864 文久
1864~ 1865 元治(げんじ)
1865~ 1868 慶應
1868~ 1912 明治
1912~ 1926 大正
1926~ 1989 昭和
1989~ 2019 平成
2019~ 令和
ところが!
「こんなのを作ったんですよ。」
と、先日の新聞用語懇談会放送分科会の懇親会で話したら、共同通信のNさんが、
「これですか?」
と見せてくれたのは、まさに私が苦労して並べたように「西暦順」に並んだ元号一覧表。
「共同通信記者ハンドブック」
には、それがちゃんと載っていたのでした。
でも「南北朝時代」の並べ方は、私が作ったほうが分かりやすいと思います!!


