『宮中五十年』(坊城俊良、講談社学術文庫:2018、10、10)

2025 . 4 . 15

2025_036

 

 

10歳の頃から明治天皇、昭憲皇太后、大正天皇、そして貞明皇后に「50年=半世紀」にわたって仕えて来た著者の記録。

「50年、凄いなあ」

と、まずシンプルなタイトルに圧倒されてきたが、よく考えたら私も、もう「42年」、この業界で働いているのだから、その意味では著者とあんま変わらないではないかと、急に親近感を覚えた。私は「テレビ局(放送業界)」で、著者は「皇居」で時代の移り変わりを見てきたことだろう。

巻末の解説で、歴代皇后に関する著書もある原武史氏は「現在の皇室批判にもつながる証言」と題して書いている。それによると明治天皇はあまり外出しなかった。その数少ない「行幸」の中に、一度「大阪の内国勧業博覧会」にご奨励のためにお出かけになったことがあったと書かれていた。おお、何やら「大阪・関西万博」と重なるではないか。興味が湧く。

そして、50年仕えた著者が「親・皇室」の態度を貫いているのに対して、4年ほど宮中に仕えた経験のある山川美千子が同じ頃に刊行した本「女官」は「批判的な目線」であったとして対比させている。そっちも読みたくなるなあ。

大変勉強になる一冊でした。

 

 

(2025、4、4読了)