ジェーン・スーさんの著書「へこたれてなんかいられない」(中央公論新社)を読んでいたら、
「神通力」
という言葉に、
「じんずうりき」
とルビが振ってあるのに気付きました。
「え?『通』は濁るの?」
私はこれまで60数年間生きて来て、「神通力」の読み方は、
「ジンツーリキ」
と「濁らない」と思って疑いませんでした。しかし、わざわざルビを振るということは、
「意味がある」
のですね。
案の定、「精選版日本国語大辞典」を引くと、「じんつうりき」は「空見出し」で、
「→じんずうりき」
となっています。「じんずうりき」を引くと、
*「じんずうりき(神通力)」=(古く「じんずりき」、後世「じんつうりき」とも)→じんずう(神通)
とあって、「語誌」も記されていました。それによると、
*『「日葡辞書」には「Iinzzu」「Iinzzuruqi」が立項され、「Iinzzu」の項に「Iinzzu(ジンズウ)、または、Iinzzuriqiuo(ジンヅリキヲ)ウル」とあるところから、ジンヅリキという語形が存在したと考えられる。「通」が濁るのは「神(ジン)」の鼻音韻尾による濁音化だが、近代に入ると「通力」の語への類推からか、ジンツウリキの語形を生じ、一般化している。』
とありました。
そして「NHK日本語発音アクセント新辞典」で「神通力」の読みは、
「ジンツーリキ」
しか載っていませんでした。
ジェーン・スーさんが、
「じんずうりき」
とわざわざルビを振って、読み方にこだわった理由は、何でしょうね?
(2025、4、3)


