『貧困と脳』(鈴木大介、幻冬舎新書:2024、11、25)

2025 . 1 . 30

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なんということだろう、今年になってこれで3冊目の読了で、1冊目は単行本、2冊目は

文庫本、そしてこの3冊目は新書なのだが、なんと全て「幻冬舎の本」なのだ!今、僕の

興味の先にある出版社は「幻冬舎」なのか?

著者の鈴木大介さんは「貧困」をテーマにルポルタージュを書かれてきた。「最貧困女

子」など、豊かな国日本でそんな貧困が?と一般には思われていた状況が出てきているこ

とを世に知らしめたのが、10年ほど前。しかし、突然本人が脳に障害を持つ体となって

しまい、これまでの取材の中で、最貧困の人たちが「働かない」「ルーズ」「時間を守ら

ない」などの「社会人として失格」な行動を取っていたのを「だから貧困なんだ」と思い

ながらも、何とか救いたいと思って来たことが、根底から違っていたことを、自らの体で

知ることになる。「働かない」のではなく「働けない」、「ルーズ」ではなく「動こうとし

ても動けない」という現実があったのである。

朝からパチンコ屋に行って働かない女性は、パチンコ屋に行くと「心が安らぐ」と。

「ここで私は勝てなくても、実際勝っている人もいる。その人と同じ空間にいることで、

心が安らぐのだ」

という。そんなの、ちゃんと働いている人から見れば、

「何をしょうもない言い訳、しとんねん!」

と腹を立てるだけなのだが、事実、そうとしか言いようがない状態があるのだと、著者は

言う。うーん、これはなかなか理解できないよなあ・・・。

この本の文章は、これまでの著者の本に比べて読みにくいなと思ったのだが、それも何か

病気の影響が出ているのだろうか?ちょっとそれが心配。

 

 

(2025、1、10読了)