なんということだろう、今年になってこれで3冊目の読了で、1冊目は単行本、2冊目は
文庫本、そしてこの3冊目は新書なのだが、なんと全て「幻冬舎の本」なのだ!今、僕の
興味の先にある出版社は「幻冬舎」なのか?
著者の鈴木大介さんは「貧困」をテーマにルポルタージュを書かれてきた。「最貧困女
子」など、豊かな国日本でそんな貧困が?と一般には思われていた状況が出てきているこ
とを世に知らしめたのが、10年ほど前。しかし、突然本人が脳に障害を持つ体となって
しまい、これまでの取材の中で、最貧困の人たちが「働かない」「ルーズ」「時間を守ら
ない」などの「社会人として失格」な行動を取っていたのを「だから貧困なんだ」と思い
ながらも、何とか救いたいと思って来たことが、根底から違っていたことを、自らの体で
知ることになる。「働かない」のではなく「働けない」、「ルーズ」ではなく「動こうとし
ても動けない」という現実があったのである。
朝からパチンコ屋に行って働かない女性は、パチンコ屋に行くと「心が安らぐ」と。
「ここで私は勝てなくても、実際勝っている人もいる。その人と同じ空間にいることで、
心が安らぐのだ」
という。そんなの、ちゃんと働いている人から見れば、
「何をしょうもない言い訳、しとんねん!」
と腹を立てるだけなのだが、事実、そうとしか言いようがない状態があるのだと、著者は
言う。うーん、これはなかなか理解できないよなあ・・・。
この本の文章は、これまでの著者の本に比べて読みにくいなと思ったのだが、それも何か
病気の影響が出ているのだろうか?ちょっとそれが心配。
(2025、1、10読了)


