9689「莫大と膨大」

2024 . 12 . 18

9689

 

 

12月18日の「ミヤネ屋」のテロップを確認していたら、インタビューに答えた人の言

葉のテロップフォローとして、

「莫大な量の」

という言葉が出て来ました。まず「莫大」の「莫」が「常用漢字ではない」ので、熟語全

体に「ルビ」を振り、

「莫大(ばくだい)な量」

としました。その上で気になったのは、

「『量』の場合は、『莫大な』ではなく『膨大な』ではないのか?」

ということです。

「莫大と膨大」

似た言葉ですが、ちょっとニュアンスが違います。私の感覚では、

「莫大な利益」「莫大な売り上げ」

といって、

「膨大な量」

と言う。「莫大な量」とは言わない。なぜならば、

「『莫大な』は『数』の大きさ」

『膨大な』は『膨らむ』ので『量』の多さ」

を示しているのではないかと。ですから「莫大な」の「後ろ」には、

「金額」「資産」「遺産」

など「数字」で数えられるもの(可算名詞)が来て、

「量」

など「不可算名詞」の「前」に、

「膨大な」

を使うのだと思いました。

「莫大」=「大きさ莫(な)し」

ですからね。「三省堂国語辞典・第八版」では、

*「莫大」=(金額などが)この上もなく(大きい/多い)ようす。(例)莫大な借金、莫

大なエネルギーを費やす。

*「膨大」=(量・内容などが)非常に大きいようす。(例)膨大な費用、膨大な時間。

これを見ると「膨大な」のほうが「使用範囲が広い」ようにも感じますね。

 

(2024、12、18)