会社のエレベーターに乗ってふと、扉の横の上のほうに目をやると
「戸開き走行防止」
と書かれたブルーのシールが貼ってありました。

イラストには、エレベーターに人が乗る様子も描いてあったので、
「走り込んでエレベーターに乗って来る人を防ぐということかな」
と一瞬、考えましたが、すぐに考え直しました。
「いや、これはエレベーターという乗り物が、扉を開いたまま動くのを防ぐということだ。そうすると、エレベーターの上下移動・動きを、自動車などと同じように『走行』と、業界では呼んでいるのかな、上下動なのに」
と思ったのでした。しかしまあ「上下動」と「水平移動」は、
「90度、角度が違う」
が「動きとしては、同じ」とも考えられますね。
「日本昇降機株式会社」という会社のサイトを見ると「Q&A」で、
「エレベーターのロープが切れてもカゴは落ちない?」
という質問があって、その回答に、
「通常のロープ式の乗用エレベーターには、カゴ側にカゴが“走行する”レールをつかむ形の『キャッチ』と呼ばれるブレーキがついておりますので、ロープが切れてもキャッチが動作し、カゴは落下しません」
というように「走行」を使っていました。
国語辞典はどうか?「三省堂国語辞典」には、
*「走行」=(車が)走ること。
とシンプルに書かれていました。用例は、
「車道を走行する」「自力走行」「走行距離」
でした。
「明鏡国語辞典」は、
*「走行」=自動車などが走ること。(例)「時速八○キロで走行する」「走行距離」
でした。「自動車など」と「など」が付いているのがポイントですね。
「新明解国語辞典」「岩波国語辞典」「広辞苑」も、
*「走行」=自動車などが走ること(例)走行距離」
で、一字一句同じでした。「大辞林」も語釈は同じで、用例に「走行距離」以外に、
「悪路を走行する」
が加わっていましたが。
さて、ここに「エレベーター」の例も今後、加えるのかどうか、注目ですね。
まあでも、「など」に「エレベーター」も含まれるだろうから「用例対応」かなあ。
今、ふと思ったけど、
「扉(とびら)」
というのは、
「戸開(とびら)」
から、きている言葉かなあ?


