9615「ヤンキーのアクセント」

2024 . 10 . 24

9615

 

 

10月16日の「ミヤネ屋」放送前に、澤口アナウンサーから質問。

「北朝鮮の金与正氏の吹き替えをするのですが、与正氏がアメリカのことを『ヤンキー』と呼んだのですが、これのアクセントは『ヤ/ンキ\ー』(中高)でしょうか?それとも、『ヤ\ンキー』(頭高)でしょうか?」

「『ヤ/ンキ\ー』(中高)は関西弁のアクセントで『不良』の意味でしょ?アメリカ人を貶めていう時の『ヤンキー』は英語のアクセントだから『ヤ\ンキー』(頭高)でしょ」

というと澤口アナウンサー、

「え、そうなんですか?関西以外でも『ヤ/ンキ\ー』(中高)って言うんじゃないですか?」

「知らんけど、元は関西でしょ。」

ということで、金与正氏の発言の吹き替えは、

「ヤ\ンキー」(頭高)

になりました。念のため、牧村史陽の「大阪ことば事典」を引きましたが「ヤンキー」は載っていませんでした。ということは、関西弁だとしても、そんなに古い言葉ではない。恐らく「戦後」の、それもかなり新しい言葉でしょう。

「精選版日本国語大辞典」を引くと、ちゃんと2つの意味が載っていました。

*「ヤンキー」(英・Yankee)(1)アメリカ人の俗称(2)(紙を染める風俗からという)俗に、街にたむろする新風俗の若者。主に関西でいう。(用例)バンカク(1973)<前原大輔>スケバン日記「カッコでも、アイビーはいるけど、硬派、ヤンキーはいない」

 

そうだ、久々に『あれ』を引いてみよう、米川明彦先生の「日本俗語大辞典」。絶対、載ってるやろ・・・載っていました!

*「ヤンキー」=不良。もと大阪の若者語で、パーマをかけて、剃り込みをして、つっぱっている十代の男性。<類義語>つっぱり。【用例】「現代用語の基礎知識1984年版」若者用語「ヤンキー(俗)大阪の梅田や難波の道端に群れをなして、平気でうんこ座りをしている新風俗のお兄さんたち。パーマをかけて、そり込みを入れ、二六センチの足に二二センチぐらいの婦人用サンダルをつっかけている。アメリカ人のヤンキーではなく、ヤーサンのヤーからきたという説がある。(以下略)」

やはりそうでしたか!米川先生の引用、詳しいなあ。これらは「中高アクセント」の

「ヤ/ンキ\ー」

ですね。でも「金与正氏」が言っているのは、

「まさにアメリカ人」

なのですから、これではありませんね。アメリカ人は「うんこ座り」、せえへんでしょう。

 

(2024、10、16)