9552「スイミングのアクセント」

2024 . 9 . 6

9552

 

 

通勤途中、駅で耳に入って来た言葉が、30代後半か40代ぐらいの女性の声で、

「スイミング習ってる」

断片的なこの言葉が耳に留まりました。その理由は「スイミング」のアクセントが「頭高アクセント」で「ス」が高い、

「ス\イミング」

だったのです。これは標準語アクセントだと「イ」が高い、

「ス/イ\ミング」

と「中高アクセント」ではないか?と思ったのです。

あとで「NHK日本語発音アクセント新辞典」を引くと、

「ス/イ\ミング」「ス\イミング」

の順で両方載っていましたが、「三省堂国語辞典・第八版」では、1種類しかアクセントを表示できないので、

「ス/イ\ミング」

だけでした。「新明解国語辞典・第八版」では【2】、つまり、

「ス/イ\ミング」

だけでした。ここから考えると、元々は「中高アクセント」の「ス/イ\ミング」だったのが、最近は「頭高アクセント」の「ス\イミング」も増えてきたのではないか?

実際、「ミヤネ屋」スタッフの若者に聞いたら、「頭高アクセント」の、

「ス\イミング」

と答えました。これは「関西のアクセント」あるいは「日本全体の新しいアクセント」ではないか?

足立アナウンサーに聞いてみたら…彼女も「若者」ですが、さすがプロのアナウンサー、

「ス/イ\ミング」

と「中高」で答えました。

なぜ「頭高アクセント」の「ス\イミング」と言うようになってきたのか?

私が思ったのは、

「『スイミング』の『スイ』に『水(スイ・ミズ)』のイメージを持ったからではないか?」

ということです。関西の人は、「口を拭う」

「ナプキン」

のことを、

「ナフキン」

という傾向があります。これは、テーブルを拭く、

「布巾(ふきん)」

のイメージを重ね合わせているのではないかと思うのです。これに関しては以前、

平成ことば事情1932「ナフキン」

平成ことば事情5497「ナフキンとナプキン」

平成ことば事情5733「ナフキンとナプキン2」

に書きました。

この「ス\イミング」の新しいアクセントにも、そういったことがあるのではないか?と思ったのでした。

 

(2024、9、6)