名著の誉れ高いこの一冊を、随分前に手に入れながら、読まずに過ごしていたが、著者の大崎善生さん(66)の訃報に接して、読み出した。
やはり、評判にたがわぬ名著だった。引き込まれて涙を止められない。
著者も「将棋」の世界で生きる人だったから、棋士たちの生き方に共感を持って接することが出来たからこそ、描けたものだろう。
生前「村山聖棋士」の活躍等は知らなかったが、実はこの作品を知ったのは「漫画」でだった。そして共感をした。限られた「命のろうそく」を燃やし続けて、将棋やマンガなど「自らの好きなもの」に集中できたのだと思う。
巻末に、聖の父親・村山伸一氏が「聖(さとし)のこと」というタイトルで書かれている中に、
「彼が残した言葉に、『生きる、生き延びること』が『将棋年鑑』に記載されていますが、人間は時を意識することで生きている証を認めていることなのだと改めて教えられました。」
とありました。また「聖の好きな言葉」は、
「照葉樹林」
だったそうです。
「村山聖」は「平成10年(1998年)8月8日」、29歳で亡くなりました。合掌。
(2024、8、9読了)


