9524「赤間凛音(りず)選手」

2024 . 7 . 30

9524

 

 

パリ五輪スケートボード女子ストリートで銀メダルを獲得した、

「赤間凛音(りず)選手(15)」

この名前もこの漢字からは、なかなか読めませんよね。

「りおん」とか「りんね」

ならまだ読めますけど。でも国際的には、「リズ」は、

「エリザベスの愛称」

ですし、

「リズムのリズ」

なのかもしれません。

さて、ここで取り上げるのは、

「凛」

という漢字です。この漢字の右下は、

「『ノ+木』の『凜』」

ではなく、

「『示』の『凛』」

なのです。お気付きになりましたか?もちろん、

「異体字」

なのですが、法務省が定める「人名用漢字」として認められたのは、「『ノ+木』の『凜』」のほうが早くて、

「1990年3月1日」

「『示』の『凛』」は、それより大分あとの、

「2004年9月27日」

です。詳しくは、こちらの安岡孝一さんのコラムをお読みください。

第16回「凛」と「凜」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム (sanseido-publ.co.jp)

これについては私も、

平成ことば事情3646「凛か?凜か?」

平成ことば事情5622「凛と凜」

で書きましたが、それによると、「ベネッセコーポレーション」の「赤ちゃんの名づけランキング」の「2009年」の女の子部門で「凛」が堂々「1位」に入ったとあるのです。「2009年」・・・ここでアッと思いました。赤間凛音選手は「15歳」、生年月日は、

「2009年1月8日」

なのです。まさにこの年に一番使われた「凛」という漢字を使った名前だったのです。

また「明治生命」のランキングで、「凜」と「凛」に注目して見てみると、「『ノ+木』の『凜』」がランキングに初めて登場したのは、

「2002年=8位」

でその後は、

2003年=4位

04年=3位

05年=7位

06~11年=<ベスト10ランクインなし>

12年=8位

13年=6位

14年=10位

でした。一方の「『示』の『凛』」はというと、

「2014年=1位タイ」

が「初登場」なのだそうです。これを書いてから、もう10年経っているので、その後も

調べなくちゃ、ということで調べました。

「示」の「凛」 「ノ+木」の「凜」

2015年  5位    ***

16年  4位    ***

17年  2位    9位

18年  5位    ***

19年  1位    ***

20年  2位    ***

21年  3位    ***

22年  2位    ***

23年  2位    ***

でした。今はやはり「示」の「凛」が「ランキング上位の常連」で、「ノ+木」の「凜」のほうは、あまり使われなくなっているようですね。

「名前の漢字が、時代を表す」

ということですね。「スケートボード」が「オリンピック種目」に入るなんて40年前には思いもしませんでしたが、「赤間凛音」選手は、「競技種目」と「名前」の移り変わりの象徴かもしれません。

 

(2024、7、30)