パリ五輪スケートボード女子ストリートで銀メダルを獲得した、
「赤間凛音(りず)選手(15)」
この名前もこの漢字からは、なかなか読めませんよね。
「りおん」とか「りんね」
ならまだ読めますけど。でも国際的には、「リズ」は、
「エリザベスの愛称」
ですし、
「リズムのリズ」
なのかもしれません。
さて、ここで取り上げるのは、
「凛」
という漢字です。この漢字の右下は、
「『ノ+木』の『凜』」
ではなく、
「『示』の『凛』」
なのです。お気付きになりましたか?もちろん、
「異体字」
なのですが、法務省が定める「人名用漢字」として認められたのは、「『ノ+木』の『凜』」のほうが早くて、
「1990年3月1日」
「『示』の『凛』」は、それより大分あとの、
「2004年9月27日」
です。詳しくは、こちらの安岡孝一さんのコラムをお読みください。
第16回「凛」と「凜」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム (sanseido-publ.co.jp)
これについては私も、
平成ことば事情3646「凛か?凜か?」
平成ことば事情5622「凛と凜」
で書きましたが、それによると、「ベネッセコーポレーション」の「赤ちゃんの名づけランキング」の「2009年」の女の子部門で「凛」が堂々「1位」に入ったとあるのです。「2009年」・・・ここでアッと思いました。赤間凛音選手は「15歳」、生年月日は、
「2009年1月8日」
なのです。まさにこの年に一番使われた「凛」という漢字を使った名前だったのです。
また「明治生命」のランキングで、「凜」と「凛」に注目して見てみると、「『ノ+木』の『凜』」がランキングに初めて登場したのは、
「2002年=8位」
でその後は、
2003年=4位
04年=3位
05年=7位
06~11年=<ベスト10ランクインなし>
12年=8位
13年=6位
14年=10位
でした。一方の「『示』の『凛』」はというと、
「2014年=1位タイ」
が「初登場」なのだそうです。これを書いてから、もう10年経っているので、その後も
調べなくちゃ、ということで調べました。
「示」の「凛」 「ノ+木」の「凜」
2015年 5位 ***
16年 4位 ***
17年 2位 9位
18年 5位 ***
19年 1位 ***
20年 2位 ***
21年 3位 ***
22年 2位 ***
23年 2位 ***
でした。今はやはり「示」の「凛」が「ランキング上位の常連」で、「ノ+木」の「凜」のほうは、あまり使われなくなっているようですね。
「名前の漢字が、時代を表す」
ということですね。「スケートボード」が「オリンピック種目」に入るなんて40年前には思いもしませんでしたが、「赤間凛音」選手は、「競技種目」と「名前」の移り変わりの象徴かもしれません。


