7年で「42刷!」どんなロングセラーなんや!年6回増刷!すんごいなあ。人気なんやなあ垣谷さん。だっておもしろいもんなあ。
以前、合唱のコンサートを聴きに行ったホールと同じビルに入っている「SUTAYA書店」で、垣谷さんの作品(文庫本)を全部そろえていることに気付いたので、こないだまた、今度は「落語」を聞きに行ったのですが、開演前にこの書店によって「垣谷作品」を3冊買いました。そのうちの一冊。これは「双葉(ふたば)文庫」だったのですが、聞きに行った落語家は「桂二葉(によう)」だったのも、面白い偶然!
「片付け指導」の女性が主人公。この本では4つの「片付け依頼」に応えています。
主人公は、「片付けアドバイザー」と言っても、家の中のモノを片付けるのではなく、なぜ片付かなくなったのか、その「こころの整理」をしてくれるアドバイザーなのです。そこに「物語」が生まれるんですね。
「不倫相手の男が『妻とは別れるから』と言って5年間別れず、不満が募るОL(32)」
「妻を亡くしてやる気がなくなっている60代の木魚職人」
「いなかの豪邸に住み、子供や孫が来るのを待っている夫を数年前に亡くした女性(78)」
「5年前に息子を事故で亡くし、立ち直れない40代元・客室乗務員女性」
特に最後の「息子(当時13)を亡くした女性」の話の中に、小学三年生の娘を白血病で亡くした主人公の伯母が周囲から掛けられた「慰めの言葉」が、かえって心に刺さって慰めにならなかったという「具体的な言葉」を紹介しているところがあります。どんな言葉か?
「本当にお気の毒」
「時間が経てばどんな傷も癒えますよ」
「少なくとも少学三年生までは娘さんと一緒の時間を過ごせたのですから幸せに思うべきです」
「大丈夫、また女の子ができますよ」
「お気持ちはわかります」
うわあ、どれも「よかれ」と思って言ってしまう恐れがある。気を付けなきゃ。
そして、伯母は、テレビから、
「生きてりゃいいさぁ」
という歌詞の音楽が流れて来たら、すぐにテレビを消したという。
垣谷さんの小説は、いつも本当に、世の中のいろいろな問題点を具体的に、笑いを交えながらしっかりと考えさせてくれる。ぜひ、続編を読みたい!ドラマ化して!


