ことしは「土用の丑の日」が2回あるそうです。
7月24日(水)と8月5日(月)で、2回目の「土用の丑」は「二の丑」とも言われるそうです。
さて、この「土用」のアクセントですが、曜日の「土曜」とどう違うのか?
感覚としては、
「土用」=「ド/ヨー」(平板アクセント)
「土曜」=「ド/ヨ\ー」(中高アクセント)
ですが、「土曜」は、
「ド/ヨー」(平板アクセント)
もありそうな感じがします。
そこでアクセントの載っているアクセント辞典と国語辞典を調べてみました。結果は以下の通りです。
【辞書】 (発行年) 【土用】 : 【土曜】
NHKアクセント辞典(1998)①「ド/ヨ\ー」(中高):①「ド/ヨ\ー」(中高)
②「ド/ヨー」(平板) :②「ド/ヨー」(平板)
新明解アクセント辞典(2010)「ド/ヨ\ー」(中高):「ド/ヨ\ー」(中高)
<古は「ド/ヨー」(平板)>
新明解国語辞典・7版(2012)「ド/ヨー」(平板) :「ド/ヨ\ー」(中高)
「ド/ヨー」(平板)
NHKアクセント新辞典(2016)①「ド/ヨー」(平板):「ド/ヨ\ー」(中高)
②「ド/ヨ\ー」(中高)
新明解国語辞典・8版(2020)「ド/ヨー」(平板) :「ド/ヨ\ー」(中高)
三省堂国語辞典・8版(2022)「ド/ヨー」(平板) :「ド/ヨ\ー」(中高)
これで分かったことは一番古い「NHK日本語発音アクセント辞典」(1998)では、
「土用」「土曜」ともに、
「中高と平板、両方のアクセントを認めていた」
ということです。
次に古い「新明解アクセント辞典」(2010)で「土用」は、「土曜」と同じく、
「ド/ヨ\ー」(中高)
だったということ。その「土曜」は古くは「ド/ヨー」(平板)だったということ。
そして「2012年」の「新明解国語辞典・7版」では「『土曜』の平板」を残していたが、「2020年」の「新明解国語辞典・8版」ではそれをカットして「中高だけ」にしたこと。
「2016年」の「NHK日本語発音アクセント新辞典」では、「1998年」の「NHK日本語発音アクセント辞典」にあった「『土曜』の平板」を削除している。
そして一番新しい「2022年」の「三省堂国語辞典・8版」は、「2020年」の「新明解国語辞典・8版」と同じく、
「土用」=「ド/ヨー」(平板)
「土曜」=「ド/ヨ\ー」(中高)
とそれぞれ1つずつのアクセントで「違いを付けた」ということです。これは、
「土用」=「ド/ヨ\ー」(中高)→「ド/ヨー」(平板)
「土曜」=「ド/ヨー」(平板)→「ド/ヨ\ー」(中高)
という「変化の流れ」を示しています。思うに、
「どちらの言葉が古いか」
と言えば、当然「土用」のほうが古い。江戸時代からあったでしょう。
そこに明治時代以降に「土曜」という同音の言葉が入って来た。
もともと「土用」は、
「ド/ヨ\ー」(中高)
と言っていたので、新顔の「土曜」は、
「ド/ヨー」(平板)
とした。ところが、そのうち、
「『土用』よりも『土曜』のほうが使用頻度が増えてきた」
ことから、
「アクセントの入れ替え」
が起きて来たのではないか?と推測しましたが、いかがでしょうか?
ちょっと、今度の「二の丑=8月5日」の「土用の丑」は、その辺りにも注意して、「鰻」を味わってみてはいかがでしょうか?平賀源内は、どう言っていたのかなあ。「ド/ヨ\ー」(中高)だったのかなあ?


