Мアナウンサーから質問を受けました。
「『大罪人』の『大』の読み方は『ダイ』でしょうか?『タイ』でしょうか?『大罪』は『ダイザイ』ですか?『タイザイ』ですか?」
「うーん『大罪』は『タイ』の気がするなあ。『七つの大罪』とかは『タイ』で濁らないよね?」
「でも『NHK日本語発音アクセント辞典』は、両方『ダイ』で濁っているんです。国語辞典は『大罪』は『ダイ』が見出しのものと『タイ』が見出しのものあって、語釈の中にはどちらも書かれていたりするんですけど…。」
つまりこのMアナウンサーの意見をまとめると、こうですね。
*「大罪」=タイザイ(ダイザイ)あるいはその逆
*「大罪人」=ダイザイニン
意味上…と言うか形式上は、こう分けられます。
*「大」のあとが「罪」
*「大」のあとが「罪人」
なので、
*「大」のあとが「1文字」=「タイ」(あるいは「ダイ」)
*「大」のあとが「2文字以上」=「ダイ」
なのではないかな?と思いました。
ちなみに『新聞用語集2022年版』の「放送で標準とする読み方例」では「大」の読み方に関して以下のような用例を挙げています。
*「オー」=大一座、大一番【相撲】、大銀杏(オーイチョー)、大歌舞伎、大看板、大喜利(オーギリ)【寄席】、大桟橋、大騒動、大地震、大店(オーダナ)、大名題(オーナダイ)【歌舞伎の看板役者】、大広間、大舞台、大童(オーワラワ)
*「タイ」=大安、大過、大河、大器、大暑、大厄、大欲、大輪
*「ダイ」=大寒、大規模、大上段、大横綱
このほか思い付くものでは、
*「オー」=大勝負、大御所、大人数、大賑わい、大騒ぎ、大水、大掃除
*「タイ」=大家、大火、大過(なく)、大気、大任、大役(を果たす)、大量、
*「ダイ」=大名人(ダイメイジン)、大名、大名跡(ダイミョーセキ)、大画面、大音量、大規模、大大阪(ダイオーサカ)、大理石
などもありますね。
でもこれ、ちょっと考えて「もしかしたら」と思ったのですが、
「昔は『ダイ』だったのではないか?」
ということです。
「大罪」を「ダイザイ」と「ダ」と濁って言っていたと。だから「大罪人」も、
×「大・罪人」→○「大罪・人」
だったのではないかと。「罪人」に「大・中・小」はないでしょう?「悪人」は「大」と「小(こ)」はあるかな?
そう考えると、辞書に「大罪」「大罪人」ともに「ダイ」が載っているのは納得ですが、
「七つの大罪」
が「タイザイ」で濁らないのは、「タ」のほうが新しいのかなあ?


