「月曜から夜ふかし」で、お寺で焚く「お香」にも、
「安い・高い」
があって、最高級の香木、
「伽羅(きゃら)」
は、「グラム何万円」もするので、とても使えない。でも一生に一度、香りをかいでみたいという広島県福山市の70代とおぼしきご住職。実はこのお坊さんは、この番組の女性ディレクターの「お父さん」だった。
そこで娘は東京・銀座の香木店を取材して、その高級な「伽羅」の映像の撮影に成功。お父さんのために高級な伽羅を手に入れて実家に帰った・・・のかと思いきや、さすがに高すぎて買えなかったので、お店の許可を得て、
「伽羅の香り」
を「ポリ袋」に詰めて、はるばる広島まで持ち帰った。その袋をお父さんに差し出し、
「どうぞ、かいでみて」
と。なんか「ウナギ屋」さんの店先で、香りだけかいで白米を食うという「落語」の話みたいですが。
さて、果たしてその袋から「高級な伽羅の香り」をかぐことが、できたのか?
袋に鼻?顔?を突っ込んだご住職、娘さんに「どう?」と聞かれてこう答えた。
「ナイロンの匂いしか、せえへん」
この、
「ナイロン」
という言葉、普通は、
「ビニール」
と言うところですが、西日本の、ある年齢以上の方は、
「ナイロン袋」
と言います。「日紡貝塚」やら何やら、大阪の泉州地域は「糸へん(化学繊維)産業」が盛んだった。「ナイロン」をたくさん作っていたので、あの透明な袋を「ナイロン袋」と呼んでいました。
私も大阪の堺市で過ごした小学校時代(もう半世紀前になりますが)、バスでの遠足で、バス酔いして気分が悪くなって吐いてしまう場合に備えて持って来るように言われたのは、「ナイロン袋」
でした。ちゃんと「遠足のしおり」に、そう書かれていました。
この広島・福山市のご住職もそういう世代で、広島も「ナイロン文化圏」なのだなと分かった一言でした。
平成ことば事情2413「ビニール袋か?ポリ袋か?」
令和ことば事情8981「村上春樹とナイロンとスコップ」
令和ことば事情9255「ナイロン」
もお読みください。


