9382「棄却か?却下か?」

2024 . 4 . 23

9382

 

 

 

「2017年9月22日」

に、タイトルだけ書いてほったらかしになっていました。今となっては、何を書こうとしたか詳しいことは分かりませんが、きっと裁判のニュース原稿で、

「棄却」か?「却下」か?

どちらが正しいのか、迷ったので、それについて調べて書こうとしたのだと思います。

それから「7年」、きょうハッとひらめきました。

「『意見』には、一般用語である『却下』を使う。『裁判』では、法律の専門用語『棄却』を使う」

ということではないかと。

ここで初めて辞書を引きました。いつもの『三省堂国語辞典・第八版』。

*「棄却」=(1)【文】とりあげないで すてること。(2)【法】裁判所が、申し立て・請求をしりぞけること。

*「却下」=(1)採用せず、しりぞけること。(例)提案を却下する。(2)【法】(裁判所・官庁が)取り上げないで さしもどすこと。(例)申し立てを却下する。

あれ?「棄却」にも「却下」にも「法律用語」としての使い方があるみたい。まあ、「一般語」としては、「棄却」は使わず「却下」だけというのは、間違いないと思いますけど。

その違いについて検索したら「八重山毎日新聞」というサイトが出て来ました。そこには、比嘉盛友という方が、こう記されていました。

「『却下』というのは『要件を備えていない不適法な訴えなどとして内容が審理(検討)される前に退けられること』をいいます。これに対して内容が審理されたうえで訴えが退けられることを『棄却』といいます。」

ほおほお、ちゃんと審理して、その主張を退けるのが「棄却」、審理に入る前の段階で、

「こんなんでは、審理できないよ」

と突っ返されるのが「却下」か。納得です。

また「図解六法」というサイトでは、「有斐閣 法律用語辞典第4版」からの引用で、より詳しく書かれていました。

*「棄却」=一般には、申立てを排斥すること。民事訴訟法上は、訴え又は上訴を理由がないとして排斥する場合に用いられ、不適法として排斥する場合の「却下」と区別される。刑事訴訟法上は、公訴、控訴、上告及び抗告を排斥する全ての場合に用いられ、それ以外の手続上の申立てを排斥する場合には「却下」が用いられることもある。人身保護法上は、請求が理由がないときに用いられる。行政事件訴訟法上は、民事訴訟法の場合と同様。

*「却下」=一般的な意味としては、国家機関に対する行政上又は司法上の申立て又は申請を排斥する処分をいう。民事訴訟法上は、当事者その他の関係人の訴えやその他の申立てに対し事件の実体の当否についての判断に入らず、不適法として排斥する裁判をいう。刑事訴訟法上は、訴訟手続の進行に関する申立てを不適法又は理由がないとして排斥する裁判について用いられる。

「7年越し(?)」で解決!わかりました!

と、書き終わって、すぐに出て来ましたよ、「却下」の実例。

自民党の「塩谷立(しおのや・りゅう)衆院議員」は、きょう(4月23日)午後にも「離党届」を出すという「読売新聞・夕刊」の記事です(この記事を読む前に「離党届」を提出しました)。その記事の中に、

「塩谷氏は4日、(中略)党紀委員会から離党勧告の処分を受けた。再審査を請求したが、党総務会は請求を却下。」

ああ、これは「裁判ではない」から「却下」なのですね。

 

(2024、4、23)