このところ、
「な」と「の」
について考えています。先日の用語懇談会で議題に出て、
「最近、『の』と言うべきところで『な』を使う傾向がある」
という指摘がされたのです。私も基本的にはそう思うのですが、「の」も、若者でなくても使っているのを見ることがあるし、古い用例でも目にするのです。
そういうことで、気になっていました。
そんな折、11月5日付に「日経新聞」最終面の「文化欄」に、漫画家の新井素子さん(私より1歳年上=1960年生まれ)が「秋はどこへいった」というタイトルのエッセイを書かれていました。その中に、
(すべて雑草のみなさまに覆い尽くされてしまったのである。)
とありました。この中の、
「雑草のみなさま」
は、普通ならば、
「雑草のみのさまに」
とするところですが「な」を使っています。失礼ですが新井さんは「若者」ではないでしょう。(1960年生まれ。)
と、思ってこれを書き出したのですが、もしかしたら、新井さんは、
「雑草の皆様に」
という「擬人法」で書いていたのかな?とも思いましたが、それなら「みなさま」を、
「皆様」「皆さま」
と漢字で書くのではないでしょうかね。
さらに、ご結婚間もない頃の皇后・雅子さまの映像を見る機会があり、そこで、ご結婚後の生活について雅子さまは、
「著名の方をお会いする機会も多く」
というように「著名の」と「の」を使い、そのコメントフォローテロップは、
「著名な方」
というように「な」になっていました。意味は同じですね。そこでまた考えたのは、
「異質な演目」と「異質の演目」
だと、
「意味が微妙に違う」
ということです。
以下、思い付くままに書いてみました。
*「〜のような」の意味での「な」は違和感
「ラグビーな店」「音楽な店」→これは「~的な」ならOKか?
鉄なドア、鉄のドア
石なイス、石のイス
黒な自動車、黒の自動車
赤な服、赤の服、
地下な部屋、地下の部屋
サッカーなボール、サッカーのボール
これは今後も考えてみたいテーマです。


