9238「『な』と『の』」

2024 . 1 . 1

9238

 

 

このところ、

「な」と「の」

について考えています。先日の用語懇談会で議題に出て、

「最近、『の』と言うべきところで『な』を使う傾向がある」

という指摘がされたのです。私も基本的にはそう思うのですが、「の」も、若者でなくても使っているのを見ることがあるし、古い用例でも目にするのです。

そういうことで、気になっていました。

そんな折、11月5日付に「日経新聞」最終面の「文化欄」に、漫画家の新井素子さん(私より1歳年上=1960年生まれ)が「秋はどこへいった」というタイトルのエッセイを書かれていました。その中に、

(すべて雑草のみなさまに覆い尽くされてしまったのである。)

とありました。この中の、

「雑草のみなさま」

は、普通ならば、

「雑草のみのさまに」

とするところですが「な」を使っています。失礼ですが新井さんは「若者」ではないでしょう。(1960年生まれ。)

と、思ってこれを書き出したのですが、もしかしたら、新井さんは、

「雑草の皆様に」

という「擬人法」で書いていたのかな?とも思いましたが、それなら「みなさま」を、

「皆様」「皆さま」

と漢字で書くのではないでしょうかね。

さらに、ご結婚間もない頃の皇后・雅子さまの映像を見る機会があり、そこで、ご結婚後の生活について雅子さまは、

「著名の方をお会いする機会も多く」

というように「著名の」と「の」を使い、そのコメントフォローテロップは、

「著名な方」

というように「な」になっていました。意味は同じですね。そこでまた考えたのは、

「異質な演目」と「異質の演目」

だと、

「意味が微妙に違う」

ということです。

以下、思い付くままに書いてみました。

*「〜のような」の意味での「な」は違和感

「ラグビーな店」「音楽な店」→これは「~的な」ならOKか?

鉄なドア、鉄のドア

石なイス、石のイス

黒な自動車、黒の自動車

赤な服、赤の服、

地下な部屋、地下の部屋

サッカーなボール、サッカーのボール

 

これは今後も考えてみたいテーマです。

 

(2023、12、28)