東京・足立区で民家の床下収納から夫婦2人の遺体が見つかった事件のニュースで、
「血の付いた妻のものとみられる靴」
というテロップの発注がありました。これは、
「妻のものとみられる血の付いた靴」
とするべきでしょうね。
「修飾語」が複数ある場合、その「順番」も重要です。文書で書いた場合は、どうしても
「前から順番に」
並べざるを得ません。電池で言うと「直列」です。でも、「修飾される語」に対して、実はそれぞれ「別々の修飾語」になっている「並列」のケースも多いのです。この場合もそうで、
「血の付いた靴」=「妻のものとみられる靴」
なのですが、その場合の、
「血の付いた」「妻のものとみられる」
という「2つの修飾語の順番」は、
- 妻のものとみられる
- 血の付いた
であるべきでしょう。
「修飾語と被修飾語の距離が短いほうが、結びつきは強く」
なります。この場合は「人が刺されて殺されている事件」ですから、
「血の付いた靴」
というのがまず重要で、それの所有者が、
「妻のもの」
という2番目の条件が出てくるのだと思います。それに「血の付いた」を最初にすると、それが「妻」を修飾しているようにも見られて、
「『血の付いた妻』のものとみられる靴」
とみられかねません。
では、もしこれに、
「白い」
という3つ目の修飾語が付いたらどうなるか?考えてみましょう。
「白い血の付いた妻のものとみられる靴」
としたら、間違いですよね。なぜなら
「白い血」
の付いた、と見られる恐れがあるからです。それを避けるには、やはり、
「血の付いた靴」
は「1語」とし、「白い」「血の付いた」の順番は、
「白い、妻のものとみられる血の付いた靴」
あたりが妥当でしょうか。「白い妻」と思われないようにしないといけませんが。
しかし、そもそも修飾語を増やせば増やすほど、伝わりにくくなるので、
「文章を区切って表現する」
ことのほうが重要でしょうね。
そういったことまで考えて、文章やテロップは作らないといけない、というのは「常識」だと思うんですが…。


