9283「文楽の『かねてより』」

2024 . 1 . 30

9283

 

 

先日、国立文楽劇場で見た文楽、

「伽羅(めいぼく)先代萩」

の中で、

「かねてより」

という義太夫語りのセリフが出てきました。「かねてより」は「重複」だと言われますが、

「江戸時代から使われていた」

のではないでしょうか?それでも「誤用」なんですかね?

念のため「精選版日本国語大辞典」で「かねてより」を引いたら、用例はなんと、

「古今集」(905-914年)恋三・六二七

でした!

「かねてより 風にさきだつ波なれや あふことなきに まだき立つらん」

<よみ人しらず>

そしてもう一つは、

「源氏物語」(1001年―1014年ごろ)若菜上

でした!

「御越結(こしゆひ)には、おほきおとどを、かねてより聞えさせ給へりければ」

という2つの用例が載っていました。

「江戸時代」どころか「平安時代」から「かねてより」は使われていたのか。つまり、

「かねてより、『かねてより』は使われていた」

と。うーん、こうなると「誤用」なのかなあ?

 

(2024、1、29)