先日、国立文楽劇場で見た文楽、
「伽羅(めいぼく)先代萩」
の中で、
「かねてより」
という義太夫語りのセリフが出てきました。「かねてより」は「重複」だと言われますが、
「江戸時代から使われていた」
のではないでしょうか?それでも「誤用」なんですかね?
念のため「精選版日本国語大辞典」で「かねてより」を引いたら、用例はなんと、
「古今集」(905-914年)恋三・六二七
でした!
「かねてより 風にさきだつ波なれや あふことなきに まだき立つらん」
<よみ人しらず>
そしてもう一つは、
「源氏物語」(1001年―1014年ごろ)若菜上
でした!
「御越結(こしゆひ)には、おほきおとどを、かねてより聞えさせ給へりければ」
という2つの用例が載っていました。
「江戸時代」どころか「平安時代」から「かねてより」は使われていたのか。つまり、
「かねてより、『かねてより』は使われていた」
と。うーん、こうなると「誤用」なのかなあ?
(2024、1、29)


