12月18日の「ミヤネ屋」で「年金問題」を取り上げた際に、
「貯金を切り崩して生活」
という一文とテロップが出て来ました。ちょっと待てよ、と。
郵便局の「ゆうちょ銀行」や「農協」は、
「貯金」
一般の都市銀行・地方銀行は、
「預金」
ですよね。そのたまった「貯金・預金」を、
「ためずに使っていく」
ことを、
「取り崩す」
と言います。こちらが従来は正しかったのですが、最近は、
「切り崩す」
という言い方もよく出て来ます。「ミヤネ屋」もその流れなのでしょう。
NHK放送文化研究所の調査(もう13年も前の2010年7月)によると、
「貯金を取り崩す」が正しい=32%
「貯金を切り崩す」が正しい=42%
と、すでに「逆転」しているという結果が出ていたそうです。
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20160601_1.html
また『三省堂国語辞典』(第7版・2014年)は、「切り崩す」に「貯金を~」の用例があるが、語釈に、
「あやまって」
と書かれていて、本来は「取り崩す」であることを示しています、と書かれているのですが、その後に出た「第8版」(2022年)を引くと、「あやまって」という表記は、もう消えていました…。
「『使う』ことを『崩す』」
と言っているわけですが、これは、
「預貯金を『財産の山』のように考えている」
感じがします。そこから「取っていく」のですから、
「取り崩す」
なのですね。つまりこれまでは「預貯金の山」を、
「砂山」
のように考えていたから「取り崩す」だったように思うのです。
ところがこれを、
「切り崩す」
と言う人は、「預貯金の山」ではなく、
「預貯金の塊・岩山」
のように考えているのではないでしょうか?つまり、
「守り切らねばならないソリッドな塊」
のイメージがあるのかな?守備的な感覚?
一応、この日の「ミヤネ屋」では、
「貯金を取り崩して生活」
に直しました。


