「日経新聞」で連載していた時から(途中からだが)読んでいて、意外に早く連載が終わってしまったので、「早く単行本が出ればいいな」と心待ちにしていた。ついに出ました!
やっぱり面白い!世界史の知識がそれほどなくても、これを読んで、ここに綽名が挙げられた王の話を繋いでいけば「ヨーロッパ史」が浮かび上がる。
「ブラッディメアリー(血まみれのメアリー)」=「メアリー1世」は「父・ヘンリー8世」の後を継いでイングランド女王になった。父が「離婚ができないカトリック」をやめて「自らが法王」の「イギリス国教会」を作ったものの、これは「カトリックではない」ので、一応「プロテスタント」になるが、「離婚できること以外は、ほとんどカトリックと同じ」だった。それでメアリー1世は、「国教をカトリックに戻す」ことにして、「プロテスタント」を次々処刑した。(ムチャクチャやなあ)血祭りに上げたので「血まみれメアリー」の名がある。その次に王になったのは「エリザベス1世」。彼女はまた「カトリック」を排除して「イギリス国教会」に戻した。その際に同様に「カトリックを処刑」しているが、「血まみれ」の綽名はない。ただ当時の「死刑」の方法は「魔女狩り」で有名な「火あぶり」だったので「血まみれ」にはならなかったそうだが。前の女王を否定するために「血まみれ」という汚名を着せたとも言われているそうだ…。そしてその名前は「トマトジュースを使ったカクテルの名前」になっているんですね。
「エリザベス1世」は、生涯結婚しなかったので「処女(バージン)王」の名がある。その時代にアメリカ大陸でイギリス領となった所には、女王に敬意を表して「バージニア」の名がある。
また、「ブランデンブルク侯・アルブレヒト1世」の綽名は「熊侯」。その「盾の文様」から来たとも言われるが、そのアルブレヒト1世が建設した都市が、ブランデンブルグ門がある「ドイツ・ベルリン」と言われ、ベルリン市の紋章にも「熊」が描かれている。
また、「ベルリン国際映画祭」の最高賞は「金熊賞」だ。これが由来だったのか!
そのほか気になる綽名は、「禿頭王」「肥満帝」「獅子心王」(ライオンハート!)「金袋大公」「不能王」「狂女王」「助平ジジイ」など。
あ、そうそう「ドラキュラ公」と呼ばれる「ワラキア公ヴラド3世」ですが、「ドラキュラ」はルーマニア語で「ドラゴン(龍)」を意味する「ドラキュル」に語尾に「a」を付けた属格だそうだ。知らなかった!
というように、大変勉強になる一冊です。


