<2022年11月1日に書き始めました>
2022年10月31日の読売テレビお昼のニュースで、3000万円の強盗致傷の少年2人が逮捕されたというニュースをやっていました。その中で、15歳の少年を、
「住居不定」
と言っていました。これって、普通ニュースでは、
「住所不定」
と言うのではないでしょうか?
放送後に報道デスクに聞くと、
「警察はずっと前から『住居不定』と言っていますが、こちらで『住所不定』に直したり、直さなかったりですね。また、みんなで話しておきます」
とのことでした。同じニュースのその日の「毎日新聞・夕刊」は、
「住所不定」
としていました。
これに関しては以前、用語懇談会の議題にも上ったなと思い、検索してみたら、2019年4月に、私が議題として挙げていました。その際は、
『先日、テレビ新潟発の全国ニュースを見ていたら、逮捕された容疑者が、「住居不定 無職」という原稿をアナウンサーが読んでいました。この「住居不定」というのは、普通は、「住所不定」と言うのではないのでしょうか?弊社の報道デスクに聞いたところ、警察発表では使われているようですが、それをそのまま放送するかどうかは「デスクによる」ということで、特に統一はしていないようです。この「住居不定」を使われている社はあるでしょうか?また「住居不定」と「住所不定」で意味の使い分けをしているという社はありますか?』
という質問をしました。これに対し、
「住居不定でやっている」
という社は「1社だけ」でした。その社は
「住民票があれば住所はあるので、不定ではない。『住居』に住むのであって、ホームレスの人やホテルを転々としている人は『住居が不定』なのだ。だから2~3年前からローカルニュースでは警察発表に従って『住居不定』で放送している。」
とのことでした。しかし全体としては
「警察発表は『住居』でも、ニュース原稿では『住所』と書き換える」
という社の方が多いようでした。
ある社の原稿検索では、2011~15年は、
「住居不定」=267件 「住所不定」=4731件
2016~19年は、
「住居不定」=61件 「住所不定」=2672件
で、使い分けはないものの「住所不定」の方が圧倒的だったようです。
その後、2023年3月29日にグーグル検索したところ、
「住所不定」=534万0000件
「住居不定」= 25万7000件
「住居不詳」= 30万3000件
こんなサイトも見つけました。
https://m.happycampus.co.jp/doc/10722/
そして、
「住所」=住民票などに記載するような住むところ
「住居」=たとえば一泊1000円の宿に6か月住んでいる場合など。
という内容の記述も見つけました。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/172469
さらにその後の3月28日ネット記事では、
「住所不詳」
という表記も出て来ました。
それからさらに9か月がたった「12月27日」の事件の記事では、
(読売新聞)住所・職業不詳
(朝日新聞)職業不詳
(産経新聞)住所・職業不詳
と出ていました。
それを見て「不定」と「不詳」、「住居」と「住所」に関してピーンときました。
「住居」は「住む家」。「住む家(住居)の所在地」が「住所」。
それが「不詳」というのは、「詳しい情報がないから」。
それに対して「不定」は、
「一定期間、安定してそこに留まることがない」
という意味ではあるが、
「住居がないとは限らない」
「住居はその時々にあるが、その場所は転々として変わる」
のであれば、「住居」も「住所」も「不定」であって、「不詳」ではない、ということですよね!「職業」に関しても、
「不詳」=詳しいことは、まだわからない
「不定」=一定の決まった仕事はない
という違いではないでしょうか!解決!


