報道ドキュメント番組のプロデューサーからアクセントの質問を受けました。
「『父』のアクセントは『チ\チ』でしょうか?それとも『チチ\』でしょうか?」
ああ、なるほど。
それは「母音の無声化」の問題なんですね。
一般的には最初の「チ」のアクセントがあると感じてらっしゃる方多いと思いますが、アクセント辞典を引くと、最初の「チ」は「破線の円」(ここでは「破線」は書けないので【 】で表記します)で囲まれていて、アクセントの山は「2番目のチ」のあとで下がるように書かれています。これは、最初の「チ」の母音「i」が無声化して発音すると。そして「母音が無声化された場合」はそこにアクセントが来ずに、
「後ろや前にアクセントの山がずれる」
んですね。だから表記上は、
「2番目のチのあと、下がる」
ように書いてあります。しかし、最近は、
「無声化した音にもアクセントがあることも認める」
傾向になっています。
だから「NHK日本語発音アクセント新辞典」でも「父」は、1番目は、
「【チ】\チ」
で、2番目に従来の、
「【チ】チ\」
が載っています。面白いのは、同じ「チチ」でも「乳」は「順番が逆」で、最初に、
「【チ】チ\」
2番目に、
「【チ】\チ」
になっていました。これは知らなかったなあ。
ただ、
「関西人は、母音の無声化をあまりしない。母音を大事にする」
という傾向があるので、「父(チチ)」の「チ」を「両方とも有声音」で発音すれば、
「最初のチにアクセント」
が来て、「有声音」で
「チ\チ」
と言うことも可能です。そして日本語のアクセントは基本的に、
「高低アクセント」
で表記されていますが、この「無声化された母音」にアクセントが来て前か後ろにアクセントがずれる場合は「高低アクセント」ではなく、
「強弱アクセント(ストレス)」
と感じて発音するといいのではないかなと、今回初めて思いました。
わっかるかなあ?わっかんねーだろーなー。


