「アジト」
と聞くと、
「過激派の秘密基地」
を思い浮かべます。あ、初めてこの言葉を覚えたのは、あれだ、
「仮面ライダーのショッカーのアジト」
でした。思い出した!最近はあまり耳にしない言葉です。
さっき、ちらっとその言葉を耳にして、ふと思ったのは、
「『アジト』と『アジール』は語源が同じではないか?」
ということです。
「アジール」
は、網野善彦さんの本で知った概念で、
「聖域、避難所、無縁所」
というような意味。つまり、
「バリアを張った結界の中」
のように私は理解しています。「ウィキペディア」によると、
『アジールあるいはアサイラム(独: Asyl、仏: asile、英: asylum)は、歴史的・社会的な概念で、「聖域」「自由領域」「避難所」「無縁所」などとも呼ばれる特殊なエリアのことを意味する。ギリシア語の「ἄσυλον(侵すことのできない、神聖な場所の意)」を語源とする。具体的には、おおむね「統治権力が及ばない地域」ということになる。現代の法制度の中で近いものを探せば在外公館の内部など「治外法権(が認められた場所)」のようなものである。』
とありました。「アジ」が同じですよね。これは、もしかしたら、
「アジ」=「住む場所」
とか、そういう意味を持っているんじゃないのかな。
いくつかの国語辞典によると「アジール」は、元は「ドイツ語」のようですね。
「アジト」は「英語」の、
「agitating point」
からと書いたもの(「精選版日本国語大辞典」「デジタル大辞和泉」)もあれば、「ロシア語」の、
「agitpunkt」
からと書いたもの(「明鏡国語辞典」)もありましたが、意味は同じ。
「場所」は「point」「punkt」でしょうから、「アジ」に「場所」の意味はないのか。残念。
「agitate」
は、「アジる」だけどな。



(追記)
11月14日付の「産経新聞・夕刊」の1面に、
「セーヌに浮かぶ日仏の絆~巨匠コルビュジエの『避難船』
廃船危機 大阪の建築家支援」
という見出しが。
約100年にわたりセーヌ川に係留されている「難民避難船」が、実は近代建築の巨匠ル・コルビュジエがリノベーションし、その弟子の日本人建築家・前川國男が設計を担当したものだそうで、名前が
「アジール・フロッタン」
というそうです。この、
「アジール」=避難(難民)
「フロッタン」=浮かぶ
ということだそうです。
ドイツ語由来の「アジール」は、フランス語でも「アジール」なのかと思いました。
(2023、11、16)